「お金がないからこそ結婚して支え合う」という考え方について
2021/11/23
「今の若い人達はお金がないから結婚できないというが、昔は、お金がないからこそ結婚して支え合う選択をしていた」
敬愛している社会学者の宮台真司さんがそのように話していたことがある。
前後の文脈がどのようなものであったかは忘れてしまったのだが、その言葉だけいやに印象に残っている。
女性との結婚を考えるとき、僕自身たしかに経済的に自分が家庭を支えるのは難しそうだと思う。
また、それ以前に、女性にアプローチを掛けようとする際にも、「デートにかかるお金を自分が恒久的に負担する経済力はない…」という思いから、女性を誘うことをしなくなっている。多分そうだと思う。
自分の経済力についてざっくりと書くと、同世代の平均収入を下回っている。
かなり安い方だと思う。
しかし自分のように、経済的な要因で結婚に踏み出せなかったり、パートナーを作ることに消極的になっている人は多いもようである。
中国や韓国などアジア圏の他の国を見てみても、若い人間にそのような傾向があるようだ。
どうして昔は、お金がなくても、「支え合う」という発想で結婚するに至ったのだろう。
宮台さんが別のところで語っていた話としては、昔は経済成長のただ中にあったので、「頑張っていれば未来は明るい」というビジョンをみんなで共有できていたというもの。
確かに、「先は明るい」と思えていれば、苦労も将来への投資と前向きに捉えることができたのかもしれない。
あと、自分の観測している範囲においての話だけど、人がわがままになっているんだろうなと思う。
もちろん僕も含めて。
「支え合う」という考え方について、考えさせられる出来事があった。
以前、一人の年下の知り合いがいた。
彼女は僕よりも7歳年下だった。
生きていたら今年27歳になっている。
知り合った当初から、彼女は僕に好意を持っていたようで、よく話しかけてきてくれた。
僕の人生において、こういうことはなかなかない。というか唯一の経験かもしれない。
そのうち、たまに食事に行くようになった。
彼女の方から下ネタというか性的なニュアンスを持つ話題を振ってくることが多かったので、「この子ちょっと大丈夫か」とは思った。
ビッチっぽいというか。
深読みするなら、性的な面でオープンな姿勢を見せることで、男性を誘引するような習慣があったのではないかと思う。
細かいところを省いて一言で言うと、彼女はメンヘラだった。
昼の仕事と掛け持ちでガールズバーに勤務していたという。
ある時に彼女から、「職場で仲のいい女の人と、同僚の男性がどんなエッチをするのか話し合ったことがある。田中さんはどんなエッチをするのか想像つかない」と言われた。
僕はこの子とセックスしたらやばそうだなと思っていたので、「それは想像力が不足しているんだと思う。もっと想像力を働かせられるようになりな」と答えた。
すると彼女は「実技研修はないんですかぁw」と返してきた。
女性からそんなことを言われることはなかなかないし、この先もうないのだろうなとは思ったが、この子がやばいのは間違いないと断定した。失礼かもしれないが…。
そんな状態だったので僕と彼女は付き合わず、エロいこともしなかった。
しかしたまに連絡を取り合った。
夜中に彼女から「死にたい」と連絡が来ることもあった。
死ぬ死ぬ詐欺だろうと思っていたのでまともに取り合わなかったし、多分いろんな人にそういった連絡を入れているのだろうと思った。
細かい経緯は忘れてしまったが、「どうして田中さんは彼女作らないんですか。モテそうなのに」みたいなメッセージが来たことがあった。
(本当にモテないのに「モテそう」とか言われると、認知にゆがみが生じているタイプの人なのだろうなと思う)
自分にパートナーが出来ない理由、能動的にパートナー作成に励まない理由などを書いたところ、「じゃあ私と付き合わないですか」ときた。
正直なところ、彼女にパートナーとしての魅力をそんなに感じていなかったし、彼女が背負っているものを受け止める自信はないし、僕が背負っているものを彼女に預ける気持ちにはなれなかったので、「付き合ってもお互いに幸せではないと思う」とにごした。
「とりあえず付き合ってみてもいいじゃないですか」と彼女。
「とりあえずで付き合ってもお互いに傷つくことになるのが目に見えている。無理。あなたが思っているより、私は人間としてだめだから」と返した。
「ダメ人間同士で付き合って、支え合うんじゃだめなんですか?」
このメッセージには驚いた。
宮台真司さんがかつて書いていた内容に、そのまま当てはまる。
けど僕と彼女は付き合わなかった。
やはり僕がわがままで、彼女と付き合ったところで結局彼女のことを大事にしないことが目に見えていた。
その後、彼女には恋人ができたと聞いた。
しかし依然として彼女の抱える問題は解決には向かわず、「どうして彼が私と別れないのか判らない。彼は私との結婚を考えている」といった新たな不安が生まれたようだった。
彼女にパートナーができてから、僕と彼女は一度だけセックスした。
僕は最後のセックスから長く時間が空いていたことが大きいと思う。
メッセージのやりとりをしていて、「とりあえず一度寝てみますか?」と彼女から言ってきた。
「寝るって言い方なんなの」と返したら「エッチするって言うのが恥ずかしかったので」とのことだった。
「セックスしてみてめっちゃ相性良かったりしたらどうするの?」と尋ねた。
「うーん、セフレになればいいんじゃないですか?」とのことだった。
自分でワケありで格安なセックスばっかりしておいてなんなのだけど、パートナーがいる女性とセックスした後に、その女性がパートナーをないがしろにするような言葉を聞くと幻滅する。
パートナーをないがしろにしていいのだったら、僕だってないがしろにしていい相手をとりあえずパートナーにしといて、別のセックス相手や恋人を探すような真似をすればいいのか? と思ってしまうのかもしれない。
僕は人間を都合良く使うような発想に対して、年々抵抗を持つようになってきている。
セックスは可もなく不可もないものだった。
若い頃はセックスに幻想を抱いていたが、経験を重ねてくると、だいたい予想がつくし、終わってみると予想を上回ることがほとんどない。
彼女と会うようになってから3年ほど経ってからのセックスだったので、こんなことになるなら別に最初からやっとけばよかったのではないかと思った。
そんな想いから僕は「結局やってしまった」と言った。
「ねー、後悔してるじゃないですか!」と彼女はちょっとすねたように言っていた。
その後彼女から一度だけ、仕事についてメッセージがあった。
僕は事務的に返事をした。
それから一ヶ月くらい経ち、彼女との共通の知人から、「○○さんが亡くなったって聞いたんだけど…」とメッセージが来た。
自死したようだ。
今振り返ってみても、彼女と僕は付き合わずにいて正解だったと思う。
多分彼女が抱えていたものは僕には重すぎるものだったはずだ。
僕が背負っているものを彼女に負わせなかったことは正解だ。
それでも、宮台さんの言っていることを、宮台さんの言説に触れずに思い至った彼女は鋭いものが合ったのではないかと思う。
僕たちは経済的にも精神的にも環境的にも満ち足りていない者同士、支え合える関係を築けただろうか。
でも多分、僕たちが一緒になったところで、うまくはいかなかったと思う。(理由を細かくは書かないが、僕はわがままだ)
彼女はどうだったかわからない。
いや、多分彼女も僕に耐えられなかったはずだ。
彼女と交流していて、僕を傷つけるような言葉や振る舞いは全くなかった。
ただ、そういった性質によって、彼女は自分を少しずつ追い詰めていったのかもしれないとも思う。
ただ、小さいことで嘘をつくことが多かったようにも思う。今となっては彼女の言葉の真偽を確かめることはできないわけだが。
何を考えても今さら遅いのだが、彼女について考えずにいられるほどの関係性でもないので、たまにあれこれ思い出してしまうことがある。
他人の抱える問題と向き合うには、僕は自分の問題を抱えすぎていると思う。
自分の問題をどうにかできないうちは、他人の問題に踏み込むべきではないのだろう。
あるいは、僕の問題を一緒に背負ってくれたり、解決する方法を考えてくれそうな相手であれば、「支え合う」という発想を持てるのかもしれない。
でも、実際に「支え合う」関係を築いたことがない人間が、どうやって「この相手となら支え合える」と思うようになれるのだろう。
そもそも自分の問題を誰かに支えてもらおうと考えることが非常におこがましいことであるようにも思う。
難儀ですね。。。
彼女と少し似た性質のある人がいる。
彼女は飲食店に一緒に入ったときに、その店の中で店を批難していたことがあった。
そういった共通の性質を持つ人と交流することがあるのだけど、自分になにかできることがあるなどと思い上がらない方がいい、ということを思い知る。
精神的に余裕を持っていられる環境を構築することを目指さなければいけないと思う。
そうしないとなにもできない。
なんとなく思うことは、結婚相手という一人の存在との支え合いではなくて、いろんな人といろんな想いを分かち合って、少しずつ支え合うような形がいいのではないかなということ。
昔のように家族や地域の共同体が強かった頃とは、今の社会の在り方は異なっている。
人との繋がりを自分で紡いでいかなければ立ちゆかない。
常に人との繋がり方を自分で考えなければいけないし、繋がっている相手だって常に考えていると思うとそれはそれでストレスなのだろうけど、そうするしかないであろうと思う。
いろんな人といろんな話をして、自分で考えなければいけない。
けれど考えるのは疲れる……となると、強くて太い繋がりを探そうとしてしまう。
何か盲目的に依存できる対象がありはしないか、とみんなが考えているように思う。
それに性愛のパートナーとの関係が一番濃密になるのは摂理であるように思う。
嗚呼、難儀。。。
「セックスが予想を上回らない」という点については、先日書いたエントリでのメンズエステでの凄まじい快楽に見舞われているので、自分の身体や脳について自分で把握できていること何てほんの一部でしかないのだな、という発見もありました。
全くまとまらないけれど、こう、みんないろんな要因に左右されながら悩みながら生きてますよね。
もっとちゃんと目的と意志を持って生きなければいけないと思う。
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