オススメ映画を80本くらい紹介します
昔、別のブログで映画のオススメエントリを書いたことがあったのですが、そちらのブログを閉じたので、せっかくだしここに移植します。
2018年に書いたものなので、それ以降に公開されたものは少ないと思います。
とりあえず基準としては、テーマやメッセージの良さよりも、話が面白いということや、観ている間ずっと惹きつけられるような感じのものを選びました。
見ようによってはネタバレっぽい部分もあるのでご注意ください。
どこの配信サイトにあるかも書こうかと思ったのですが、調べるのが手間なうえにアップされたり観れなくなったりといった動向もあるので、特に書きません……。
すごくオススメしたくなった作品があったら随時追加していきます。
それとも、続編エントリを作った方が良いのでしょうか。。。謎。
ちなみに2020年日本公開作品としてはフォードVSフェラーリがぶっちぎりですね。
フォックスキャッチャー
レスリング選手の兄弟と、レスリングチームを持つ金持ち男の話。
金持ち男は家族に自分のチームを評価してほしい……ひいては自分の運営能力を評価してほしいが、「レスリングなんて野蛮なもの」と軽蔑されている。
金持ち男を演じたスティーブ・カレルの終始ガン開きの眼が怖い。
兄弟側の、弟を守ろうとする兄と、兄の影に隠れてしまうことに不満を覚える弟の関係性も切ない。
実話をベースにした物語で、とにかく重い。
画面もイーストウッド映画ばりに暗い。
冒頭からラストまでピンピンに緊張していて、一瞬も気を緩めることができないが、構成が完璧だしテンポが良いので最後まで一気に観れるはず。
監督はドキュメンタリー映画出身で、フィクションに進出してからも実話ベースの作品しか撮っていないが、三作目の本作でカンヌ監督賞を受賞。
また、全ての作品で通底しているのは、男女の恋愛が描かれずに、男同士の友情とも愛情とも違う濃密な関係性が描かれること。
ブラピ主演のマネーボールの方がハリウッドライクな作りで観やすいが、人間が狂気の淵へにじり寄っていく様を描いた本作の方をすすめたい。演技もヤバイ。
卒業
伝説の映画。
大学を出て実家に帰ってきた童貞が主人公。
主人公を子どものように可愛がる親がイタい……。
この映画のラストシーンのパロディは様々なところで目にしたことがあるはず。
だが、そのラストシーンのさらに先まで描かれていることは非常に興味深い。
俺に知る中でそこまでパロっているのはシンプソンズしかない。
原点にして到達点。
チビで童貞のユダヤ人青年が主人公の、ダメ男奮闘系恋愛映画。
「すべてがプラスティックなんだ」
は重要キーワード。
すべてがプラスティックで出来ていて何が本物なのかわからない…というポストモダンな哲学。
この映画といいタクシードライバーと言い、初デートでポルノ映画を観に行こうとするのは自意識過剰童貞の性なのか。
本作を傑作たらしめている要素の一つにはサイモン&ガーファンクルの楽曲がある。
これも特にラストで生きる。
ファンタスティックミスターフォックス
昔泥棒として名をはせていたパパギツネが主人公。
実写映画を作っていたウェス・アンダーソン監督が作ったストップモーションアニメ映画。
もともと実写でも画面作りに死ぬほどこだわりのあった監督だが、念願かなってのアニメ映画ということでやりたいこと全開。
すべての画面が美しい。絵として。かわいい。
全キャラクターが死ぬほどかわいく、ギャグキャラはかわいい上に面白い。
このコメディのセンスはいったい何なのだろう。
ウェス監督がずっとモチーフにしている「ダメパパ」のストーリーテリングも、完璧な形で描かれる。
究極の映画の一つと言える。
この作品レベルを期待して観に行った『犬ヶ島』はそうでもなかった。。。
犬ヶ島を観てあんまりピンときていない人にも観て欲しい。
ブレックファスト・クラブ
スクールカーストを描く映画の原点的存在。
補講のような形で休日登校してきたはみ出し者の高校生たち。
全員異なるタイプの問題を抱えているが、だんだん心を通わせていく。
設定が秀逸であり、軽妙なコメディタッチで話が進んでいくのでとても観やすい。
監督はジョン・ヒューズ。
十代の少年たちの繊細な心に寄り添うような、特に厳しく諭すような父のような孤高の映画作りを続けた。
『ホーム・アローン』も、ヒューズ氏のプロダクション製作です。
プリティ・イン・ピンク
同じくジョンヒューズ映画。
はみだしものだけどおしゃれな女の子が主人公。
スクールカーストと学園恋愛を同時に描く。
母親に出ていかれた父親に対して主人公が言う台詞が泣ける。
ジョン・ヒューズ監督の映画に外れはないです。
マジック・マイク
昼は大工、夜はストリップクラブで働く男と、その男に出会って夜の世界に飛び込む青年のダブル主人公。
男性ストリッパーの生活を描くという点で、客を呼び込む強烈なフックを仕込めているのがすごい。
このエロさをとくと見よ。
こんなにエロくて、切なくて面白いなんて、誰があらがえる?
主演のチャニング・テイタム自身がストリッパーだった経験を活かしているとのこと。
ストーリーがすぐれている点はもちろんだが、ストリッパーたちのダンスのカッコよさがやばい。
ストリッパーとして金を稼いで起業しようとする主人公の努力が泣ける。
サタデーナイトフィーバーへのオマージュもあり。
2では監督が替わっており、評判が散々なので観ていないのですが、どうなんですかね?
サタデーナイト・フィーバー
映画を観たことがなくとも、トラボルタがポーズを決めているポスター写真は見たことがあるはず。
言わずと知れたイケイケディスコムービー……といいたいところだが実際の内容はそんなことはない。
高校出ても親と同居していて、ダンサーとして有名になることを夢見る青年が主人公のモラトリアムを描いた映画。
存外、繊細な青年たちの生活ぶりに共感を覚える。
ちょっとネタバレだけど、この映画がつくられた77年の時点で「魅力的な女の子が年上の男と不倫してて死にたくなる」という構図はあるあるだったんですね……。
結婚してんのにかわいい若い女の子と付き合ってる男全員殺していい法律はいつできるのですか。
安倍政権、頼むぜ!
ラストは泣ける。
そしてビージーズが提供した傑作曲の数々も鳥肌モノ。
ファニー・ゲーム
いわずとしれたトラウマバイオレンス映画。
湖畔の別荘に遊びに来た三人家族のもとに、謎の青年たちが訪れ……。
ハリウッドのアクションやサスペンスに触れてきた人間ほど、この映画に対する拒否反応は強いはず。
娯楽作品の「お約束」を全て裏切るからだ。
この監督は、長くTV局で働いてきたことで、視聴者が娯楽に求める「お約束」を熟知している。
だからこそ善良な消費者に娯楽が与える影響を憂慮しこんな映画を作ったのだと思われる。
僕にとってこの映画は、フィクションとの接し方を考えるきっかけになった。
ハリウッドリメイクされ、ハネケ監督自身が再びメガホンを撮ったが、ロケーションからカメラワークからコマ割りから編集からすべて全く同じように作るという、「リメイク」をバカにしたような作り。
ハネケ監督は頭がおかしいのである。
だが役者の気味悪さ・以前の作品との関連性もあるので、オリジナル版で観るべき。
ハネケ映画は全部必見と言いたいところなのだけど、とりあえず一本目はこれがよさそう。
愛・アムールは観たことがあるという人でも、この凶暴性に触れてみてほしい。
インテリジェンスに裏打ちされたバイオレンスという意味では北野武にも似る。
71フラグメンツ
同じくミヒャエル・ハネケ監督作。
下で紹介するエレファントと構造がかなり似ているが、こちらの方が先に作られている。
一見無関係に見える事柄が、同時に並べられることで、相互に関連しているように思えてくる……というつくりとのこと。
作中で使われる「拳銃」が流通していくルートを、何の説明もなく淡々と描写していく演出もユニーク。というか、意地悪。
暴力的なシーンが映される前から「なにか起こりそう」で身構えてしまう。
緊張感や不安を煽る独特の演出が光る。
無慈悲。
アレックス
人が担架で建物の外へと運ばれてくるところから映画は始まる。
次のシーンでは、婚約者を強姦された主人公が、犯人を襲撃しようとする。
この映画は時間を逆行する形でストーリーが描かれる。
トリッキーな手法ではあるが、その構成は完璧に計算されており、時系列を遡っていくほどに絶望が強まっていく。
その構成の妙に、ラストシーンを迎える頃にはある種の感動を覚える。
他の人が描かないバイオレンス&仕掛けを用いることで有名な監督だが、ストーリーテリング力のピークを迎えたのがこの作品だろう。
僕が好きなのは「カノン」だがストーリとして面白いかというと、そうでも……。
この映画の冒頭に一瞬出てくるのは「カノン」の主人公なので、そっちも観てみると、この監督がどれだけ意地悪のかわかるはず。
「神の視点」から東京の街を撮る「エンター・ザ・ボイド」も強烈な映画。
あちらはストーリーとしては面白くはないがカメラワークがすごい。
映画館で観たら絶対吐く。
「リアル峰不二子体型」として話題になった小倉優香さんが、この映画をフェイバリットムービーとして挙げていたそう。
なんでやねん。
ストリート・オブ・ファイアー
傭兵上がりの主人公が生まれ故郷に帰ってくる。
ロックシンガーとして有名になった昔の彼女が、不良共にさらわれてしまい……。
ストーリーの筋自体はどうでもよい。
「男の中の男」を描くことにかけては天下一のウォルター・ヒル監督の最高傑作がこれ。
ウォルター監督は日本のオタク筋にも大きな影響を与えており、多くの作品でパクられているので、この映画を観ているだけでも「あるある展開」のオンパレードだ。
だが、どれもこの映画を越えることはできていない。
「ぶっつぶせ」のシーン、かっこよすぎて絶叫しそうになりました。
ザ・ドライバー
同じくウォルター・ヒル監督作品。
ライアンゴズリング主演のドライブの元ネタ。
寡黙な仕事人が黙ってかっこよく仕事をこなす。
それだけで映画というのはこんなにも面白くなる。
ドライブ、もし観てないなら死んでも観るべき映画です。
ドライブ
かっこよすぎるっす。
この映画のチェイスシーンで使われた「スピンしてピンチになるがバック走行で切り抜ける」は、未だにパクられまくっている。影響力デケー。
(さらに元ネタがあったらすまん)
マーシャル博士の恐竜ランド
「こいつが出ている映画の半分はド傑作」なウィル・フェレル主演。
これは傑作なほう。
世間から見放されている科学者が、恐竜のいる世界にワープしてしまうというどうでもいいあらすじ。
バカな男二人と、ツッコミ役の女の子が、延々馬鹿なことをやってるという話。
吹き替え版ではケンドーコバヤシさんが主人公役。
「中華料理の達人、チン・チンポウ」はケンコバさんのアドリブなのでしょうか……最高です。
赤ひげ
黒澤映画はどれもすごいが、一番「泣ける」のはこの映画だろう。
短編小説集を映画化しているので、「一つの物語」とは呼びにくく、三話構成のドラマを観ているような感じ。
加山雄三の演技は少しクサいが、話は死ぬほど面白い。
マジで死ぬほどいいで。
活きる
黒澤映画その2。
ラストシーンが、「日本って、こうだなぁ」という感じ。
この映画のラストもすごくパクられている。
ハリウッドのスクリプトドクターいわく、「システムを覆すことができないエンディングは日本の映画に多く観られる」だそう。
ザ・マスター
ポールトーマスアンダーソン作品。
戦争からの帰還兵が、新興宗教の教祖に気に入られる。
帰還兵役のホアキン・フェニックスの壮絶な演技。
完璧な映画だ。
ジョーカーでしかホアキンを知らない人にこそ見て欲しい。
ところで、映画の中でセックスや手コキ・フェラチオのシーンがあって、開始から射精までをワンカットで描く際、「イクの早くない?」と思うことがありますが、気になるのは私だけでしょうか。
ブギーナイツ
家出少年がAV監督に出会い、AV男優として活躍する。
ポールトーマスアンダーソン監督は、社会に適合できない主人公が、ある特殊な技能を披露することで、ある団体のリーダーに気に入られる話をいくつも作っているが、この主人公はチンコがでかいのだ。
僕は観てないけど『全裸監督』はこの映画を模していると聞いたような気がします。
監督失格
ドキュメンタリー映画。
妻子あるAV監督が、付き合っていたAV女優が亡くなってしまったことがきっかけで、彼女とのことを映画にしようと思い立つ。
はからずも、AV業界で生きた女性を浮き彫りにするという社会学的にも価値を持つ作品になってしまった。
母親と娘とは。
母が自分の娘の遺体を発見する現場を撮影したドキュメンタリー映画史上初の作品では?
そしてなぜか庵野秀明プロデュース作品。
さっさとエヴァ作れ!
悪の法則
タイトルそのまま。
人死にまくり。
殺す側の悪意の脈絡のなさ。
キャメロン・ディアスの顔ってなんか怖いと思っていたので、こういう悪魔のような役柄は良く似合った。
ジョーカーやヒソカのように「悪魔」は悪魔なのだから、バックボーンを描かないでいいのだ。
ジョーカーが「悪役誕生譚」を吹聴しまくって周囲をかく乱することによく表れている。
(『ジョーカー』でのジョーカーは悪魔ではなかった、ということですね)
ハスラー
風立ちぬやララランドのように、「仕事を選ぶか女を選ぶか」映画。
何かを究めようとすれば、悪魔に魂を売り渡さなければならないのか。
オープニングシーンのかっこよさに死ぬほどしびれます。
かっこいいわぁ。。。
ハスラー2
ビリヤードを極めた主人公。
若い世代との対立や、継承を描いた映画。
監督は1と異なるが、理想的な形でバトンタッチできている。
ラストシーンのカッコよさは尋常じゃない。
1の最高のオープニング、2での最高のラストシーン……完璧。
ロッキー3と同種のもの。
ロッキー観てるよね? 観てないなら3までは必見。
サイタマノラッパー
ラッパーに憧れる埼玉の田舎者が主人公。
田舎の若者のリアルと同時に、モラトリアムに浸る青年たちの痛々しさも描かれる。
とくに「夢追っかけてる自分」に酔ってる半端な人間(僕みたいなの)の描写が刺さる。
しかし成長譚として美しい。
自分に何もないということがはっきりわかった。
しかし本当に「辞める」しか道はないのか?
ノー。
泣くね。
ヒップホップの知識も必要なく、「エミネム」の名前だけ知ってれば平気。
パンダコパンダ
宮崎駿さんと高畑勲さんのタッグ作。
トトロとポニョの原型。
二人が「自分の子どもたちのために作った」と話すとおり、『アルプスの少女ハイジ』と並ぶ金字塔。
とにかくキャラクターと世界観がかわいい。
物語展開が童話そのもの。
しかし違和感がない。
最強にかわいい世界。
30分くらいの短編アニメ二作で構成されている。
親戚の子どもに観せたらハマりまくって、「ぱんだこー」と言うようになったし歌も覚えた。
子どもに観せると反応が面白い作品。
どうぶつ宝島
東映劇場映画ピーク時の一作。
若き日の宮崎駿が参加。
物語はラピュタの原型。
壮大とは言い難く、ストーリーに浸れる作りではないが、「活劇アニメ」としては大傑作。
アマゾンプライムで観れる。
短いしオススメ。
空飛ぶゆうれい船
原作付きアニメ。
メディアが社会をコントロールする様が妙に生々しく描かれていてこわい。
宮崎駿がアニメーターとして参加し、独特の空中戦を描いている。
アマゾンプライムで観れる。
短いしオススメ。
長靴をはいた猫
東映劇場映画ピーク時の一作。
若き日の宮崎駿が参加。
物語はのちのカリオストロの原型。
壮大とは言い難く、ストーリーに浸れる作りではないが、「活劇アニメ」としては大傑作。
アマゾンプライムで観れる。
短いしオススメ。
ノー・カントリー
原作小説の題は「血と暴力の国」。
殺し屋と逃亡者の攻防がおそろしい。
特にこの殺し屋の人物造詣は映画史に残るほどの怖さ。
なんなのあの武器。
コーエン兄弟が描くハードボイルドの極致。
バーン・アフター・リーディング
同じくコーエン兄弟制作。
ノーカントリーでアカデミー賞作品賞監督賞脚色賞を総なめした直後に、究極の馬鹿コメディ映画を作るという暴挙。
しかもタイトルは「読んだら燃やせ」。
こんな映画観てもお前には何も残んねーぞ、という意味。
「何か陰謀か」と思わせて、肩透かし……の連続で、本当に何でもない、バカ野郎たちが世間をひっかき回しているだけという話。
しかしすべてのギャグがさえわたっている。
人が死ぬシーンで爆笑したのは初めてです……。
ストーカー
ストーリーは全然意味わからないという人が多いと思うけど、映像が美しすぎるから別に構わないと思う。
どうやってこんな風景作ったの? の連続。
多分世界で一番美しい映像を撮るソ連出身のアンドレイ・タルコフスキー作品。
日本語訳付きの本編動画がYouTuberにあります。
宮崎駿が「ストーカーはいつも5分くらいしか観てないのだが傑作だとわかる」と断言していた。もっと観ろよ。
ハートロッカー
イラク戦争映画。
爆弾解除の名人が主人公。
自分にしかできない、自分しかやりたがらない仕事こそ天職なのだという話。
男たちの生きざまがかっこいい。
爆弾解除シーンの緊迫感が凄まじいのはもちろんのこと、映画史に残るスナイプショットバトルもある。
戦争映画の中で一番好きな映画です。
緊迫感を演出するのがハリウッドでもトップクラスの女流監督なのだけど、この作品以降は社会的な題材を選ぶ傾向にあり、どこか「物語」要素が薄れた感が。
なのでこの作品がおすすめ。
不思議惑星キンザザ
バカSF映画。
ソ連の作品なのでそこかしこに社会的な風刺もあるが、世界観づくりが素晴らしい。
平沢進先生が『点呼する惑星』を製作するときに下敷きにしたという。
そう言われるとテーマ曲とちょっと似ているかも。
「最後の最後まで相容れない他民族」というもの悲しさを、最後までギャグ仕立てで見せる。
最後の語らいのシーンが一番面白くて大好き。
マディソン郡の橋
大ヒットした映画。
不倫がテーマ。
「専業主婦が家事をこなす」という、戦後に国家によって推進された家族モデルが、どれだけ女性の心を閉ざさせてきたか。
それが本作が大ヒットした背景にあると思う。
普通の人々
こちらも専業主婦を一つのテーマとして描いた映画。
専業主婦は暇だし、家の外との交流が減る。
そうすると子どもに異常に執着し始める……という視点で私は見ます。
一つの家庭の崩壊と、一人一人の再生の物語。
タイトルも秀逸……「普通」ってなんでしょう。
レボリューショナリー・ロード
めちゃくちゃ胸が苦しくなる映画。
ディカプリオ様、セックスシーンが早漏すぎるのが悲劇の原因か。
「専業主婦」についての映画と解釈しています。
エレファント
スクールカーストもの+学校群像劇。
こういう作品は多いが、やはりその頂点はこの作品。
コロンバイン高校で起こった銃乱射事件がテーマ。
学校は精神的なゲットー。
群像劇を描きたいなら観て損はない一本。
痛い。
DVD発売時、なぜか浜崎あゆみが推薦コメントを出していた。
「ギャル」的なライフスタイルと、通底する問題があるのかもしれないですね。
明日君がいない
エレファントに影響を受けた映画。
誰かが学校の中で自殺するシーンから始まるが、誰が命を絶ったのかはわからないまま、その一日の始まりに時間軸が戻り、少年たちの学内での過ごし方が群像劇として描かれる。
インタビューっぽいモノローグ映像も挟まれるというモキュメンタリー作品。
あんまり面白くはないけど、「誰が自殺してもおかしくない」という学校の閉塞感の演出は面白いかも。
ミスター・ダマー
ファレリー兄弟により傑作コメディ映画。
バカ男二人がずっとバカなことやっているだけだが、ここまで面白いというのは異常。
アメリカのコメディ映画の下劣さは苦手という人でもこの映画くらいギャグのレベルが高ければ大丈夫なのでは?
ここまでバカなこと思いつけるのは本当にすごいこと。
2も激烈に面白い。すべての映画の続編がこうあってほしい。
8 1/2
いろんな映画にパクられまくる名画。
「次の作品をどんな風に作ろうか悩んでいる映画監督」が「次の作品をどんな風に作ろうか悩んでいる映画監督」を映画にした。
エヴァにもパクられたし、宮崎駿も北野武もこの映画を真似た。
「創ることに悩む全ての人」が一度観ておいた方が心が楽になる映画。
高学歴でインテリな妻も好きだけど、頭悪くてブロンドでおっぱいのでけー愛人のことも大好き。でも……そんな僕でもいいんだ!
道
↑のフェリーニ監督の傑作映画。
身勝手な男を好きになった従順な女性が主人公。
泣ける。
どんでん返しがうまい。
春にして君を想う
話はそんなに面白くないけれど、二人の男女が死に場所を求めて旅をしていて、ついに見つけた死に場所、その風景の美しさが尋常ではない。
あとタイトルが良すぎる。
小沢健二もパクった。
ダンサー・イン・ザ・ダーク
日本では鬱映画の金字塔として知られている感じだけど、とにかく物語の構造のよさ。
そしてビョークの歌と演技の神々しさ。
別途ブログを書いています。
ダンサー・イン・ザ・ダークを傑作たらしめたビョークの決意
覇王別姫 さらば、わが愛
中国映画。
長い。
しかし死ぬほど面白い。
中国映画は恋愛を描くにしても「歴史」ごと描かれるものが多い。
それだけ政府による圧制への反発心があるということなのか。
クーリンチェ少年殺人事件
中国から台湾に移住してきた一家の男の子が主人公。
長いが、すべてのシーンが面白い。
ちょっと言葉で語りつくせないので何も書けないです……。
凄まじ過ぎるので絶対観ましょう。
スプリングフィーバー
ゲイ映画。
性的に閉塞的な中国の中で、セックスを真っ向から描く監督。
他の映画もよいのだけど、ゲイを特殊な存在として描いていない、そのストレートさは他ではあまり観ない気がする。
人情紙風船
時代劇モノ。
監督は26歳の若さで声望を得たが、この後出兵し戦死。
とにかく脚本が美しい。
アメリカン・グラフィティ
ルーカスがスターウォーズ前に撮った傑作青春映画。
「たった一晩で人生がガラッと変わる」
最高。
やはりルーカスの脚本は洗練されている。
本作によりビーチボーイズなどのオールディーズミュージックがリバイバルしたという社会的な影響も大な映画。
THX 1138
ルーカスがスペースオペラではない、純粋なSF映画として撮った一作。
SFとしての完成度の高さ。
その後のSF映画のひな型となっている。
ルーカスの「非スター・ウォーズ映画」は、スター・ウォーズに距離を感じている人にも観てほしい。
普通に、映画を作るのがめちゃくちゃ上手くて、純粋ポジティヴなメッセージを込める人なんです。
ニューヨーク1997
メタルギアソリッドの元ネタ。
犯罪が激増した未来が舞台。
マンハッタン島は犯罪者たちを閉じ込める流刑地となっていたが、そこへ大統領専用機が墜落した。
大統領を救ってくるという依頼を受けた流れ者の元特殊部隊隊員の主人公。
設定だけですでにかっこよすぎるが、最後まで死ぬほどかっこいい。
人喰猪、公民館襲撃す
韓国産C級モンスターパニック映画。
話はジョーズの○パクリだが、ギャグが死ぬほど面白い。
韓国映画が、どのジャンルでも世界最高峰の域まで持って行けることを示している。
必見。
「男女混合で雑魚寝してて、好きな女の子の髪の匂いを嗅ぐ男」のシーン、マジでちょっと死ぬほど笑いました。
哀しき獣
バイオレンス描写の強烈な韓国映画。
韓国映画界はバイオレンスな犯罪映画では世界でもトップに達しているが、この作品はその中でも群を抜いている。
韓国という国が抱える暗部から出てきた男の物語。
話としてもとても良く出来ています。
韓国映画では「悪い男」をカッコよく描くことが多いけど、この映画のカッコイイワルのかっこよさは異常。
愛より強く
ファティ・アキン監督の映画は傑作続きだが、政治性とドラマ性がバランスよく両立されているように思うので、コレ。
恋愛映画としても強烈、かつ真理を描いていると思う。
何よりもやはり、シナリオライターとしての腕がいかんなく発揮されている。
作中、ザ・ザの歌詞「世界を変えられないなら、君が変わるしかないんだよ」が引用される。
アニーホール
自意識過剰ダメ男映画の元祖にして、頂点。
余計なことは言わないので死んでも見た方が良い。
元カノとやって楽しかったくだりを、今カノとやろうとして、全然楽しくならないシーンがあるのですが……泣くでしょ?
ナイトクローラー
闇方向での主人公の自己実現物語。
熟女を口説いて逆ギレするやばい主人公。
そして口説かれる熟女は監督の実の妻が演じている……監督もだいぶやばい。
シナリオライティング技術が達者すぎる。
この映画を監督したダン・ギルロイは、兄弟も著名な脚本家でボーン・シリーズを手がけている。
家族みんな脚本の天才ってなにがどうなってんの?
スティング
観てる間ずっと楽しい。
メインテーマは誰もが聴いたことがあるはず。
ギャンブルシーンはジョジョの三部でパクられてた。
殺人魚フライングキラー
B級映画として名高いピラニアシリーズの変化球的作品。
若き日のジェームズ・キャメロンが抜擢され、監督を手がけた。
大筋は良くあるモンスターパニックだけど、キャメロンの「物語構造の美しさ」はこの頃から群を抜いてる。
キャメロン脚本映画は全部死ぬほど美しいのだけど、デビュー時にこんな題材を任されてもこれだけすごい、という意味で面白い。
タイタニック
売れすぎて馬鹿にされることも多いけど、絶対に観た方がいいですよ。
運命の恋。
ローズが魂を解放させるパニックムービー タイタニック
イカとクジラ
スランプ文学者の父と、文芸編集者の母親が離婚。
二人の息子のアイデンティティクライシスを描く。
と同時に、嫁に捨てられた親父のアイデンティティもクライシスするという生々しさ。
子どもから見た「親」の存在、その視点が移り変わってゆき、「気付いてしまう」瞬間を描く筆さばきが絶妙。
すごい映画。
同監督の『マリッジ・ストーリー』も話題になっていますね……私まだ観れていないです。
クラッシュ
群像劇。
ポール・ハギスは天才脚本家で、監督としては出来のブレが激しいが、この作品は脚本と演出のどちらも神がかっている。
登場人物がめちゃ多いのでそれぞれの登場シーンは少ないのに、驚くほど深くまで掘り下げられている。
超すごいと思います。
これ以降のポール・ハギス氏はちょっと腕が鈍ってきているので、ファンとしてはさみしいところではある。
ホテル・ルワンダ
史実モノ。
ルワンダで起きた大虐殺を、ホテルのオーナーの視点から描く。
ショッキングなシーンがめちゃくちゃあるが、現実に起こったことの一つとして目を背けてはいけないと思う。
リトル・ダンサー
炭鉱労働者の兄と父と痴呆気味の祖母と暮らす小学生の男の子。
兄と父はストライキを起こしており、収入が断たれているなか、主人公はバレエの魅力に目覚める。
正直、中盤まで全然面白くないのだけど、中盤以降泣けるシーンが怒涛のように訪れる。
少年が主人公だが、父親やバレエを教えてくれる女師匠の描き込みも深く、キャラクターの立て方が上手なのだと思う。
サウンド・オブ・ミュージック
ミュージカル映画の傑作。
「至上の愛」というクラシック曲を生み出してしまった点だけでも歴史に残る作品。
お話自体もとてもよい。
後半で歌われるエーデルワイス、思い出すだけでもちょっと泣けるんですけど…めっちゃ良くないですか?
カサブランカ
「君の瞳に乾杯」の台詞で知られる古典。
この台詞はザ・キザな口説き文句として引用されることが多いが、映画で使われる場面を観てほしい。
泣けますよ。
男はどう生きるべきなのか。一つの答えが提示されている。
博士の異常な愛情
キューブリック映画はどれも観る価値ありすぎるのだけど、核戦争の恐怖を描いた原作をギャグ映画にしてしまったという料理の妙ということで、この作品は面白いかなぁと。
俺たちニュースキャスター
下ネタ含むギャグ映画。
とにかくそのギャグのクオリティの高さ、連射ぶり。
2も同レベルで最高。
よき2の作り方のお手本です。
ルアーヴルの靴みがき
村上春樹がお気に入りの映画監督。
小津安二郎に影響を受けた感のある、カメラを動かさない演出が基本。
登場人物が全然自分語りをしないところ、寓話的な物語などが村上春樹っぽさがある。
画面作りも音楽も話し運びも素朴なのだけど、最後には深い感動がある。
シンプルなのでおすすめ。
ウォルト・ディズニーの約束
メリー・ポピンズの実写化秘話。
物を作ろうとしている人には観てほしい感じが。
ある子供
カンヌで監督賞とグランプリを複数回受賞しているダルテンヌ兄弟監督作。
ニートで頭の悪い青年が主人公。
彼女に子どもができてしまい……。
予想の付かない話運び。
この監督は社会問題を題材にしながらも、当事者でない人が観てもどんどん惹き込んでいく。
名人芸レベル。
どの作品を見ても外れはないが、「子どもは作るのは難しいなー」と思ってしまうような我々には刺さりはしませんか。
最近、突発的に子どもができちゃう話を作りたいなと思うことがあります。
「子どもができちゃった」とか「いきなり『あなたの子です』と子どもを押しつけられる」って話は、映画史ではけっこうありますね。
少年と自転車
同じくダルテンヌ兄弟作。
生涯ベストクラスで好きです。
一時間半足らずのストーリーで、こんなところまで持っていかれるとは思いませんでした。
ダルテンヌ兄弟が、日本の少年犯罪のシンポジウムに出席した際に耳にしたエピソードに触発されて書かれたシナリオだそう。
公式サイトには、そのシンポジウムに出席していた弁護士のコメントが掲載されているのだが、それが素晴らしいので、ぜひ読んでほしい。
全員死刑
日本バイオレンス映画の新星・小林勇貴監督作。
こういう実話ベース犯罪映画が観たかった。
出演者も全員最高。
間宮祥太郎くんのことはすごく応援したくなりますね。
新感染
パニック映画。
新感染を舞台としたゾンビモノなのだが、こんなに面白い展開を作れるなんて奇跡では?
泣ける要素もあります。
さすが韓国、映画製作のレベルが高い。
マンチェスター・バイ・ザ・シー
「人は変われない」をテーマに映画を作るケネス・ロナーガン監督作品。
変なお話と変な演出の変な映画。
トラウマから立ち直る作品ばかりのハリウッド映画の中で異彩を放つ。
スリー・ビルボード
会話劇が現代で一番上手い監督ではないかと。
オアシス
韓国映画界の重鎮、イ・チャンドン監督作。
アジアで一番脚本が上手い人だと思っています。
この人の作品は傑作しかないけれど、とにかくこれは強い。
監督の二人の妹が脳性麻痺を患っていた経験から作られた映画。
イ監督はすべての作品で「韓国社会が抱える闇」をあぶり出す。
全作品必見。
僕がイ監督作品の中でこれが一番好きなのは、カタルシスらしきものがあるからだと思う。
問題的としては『シークレット・サンシャイン』が上だと思うし、脚本のうまさとしては『ポエトリー~アグネスの詩』に軍配が上がる。(バーニングがよくわからんかった、という人でも、イ監督の過去作にはチャレンジしてみてほしい)
ミリオンダラー・ベイビー
イーストウッド映画で一番好きです。
ラブストーリーだと思いますよ。
「彼女は神にじゃない、俺に救いを求めているんだよ」という台詞、すごく好きです。
こうやって、紹介の文を書いていると、自分は作品を物語としてではなく、作った人間の意匠として捉えているのだと気付く。
物語の内容や魅力を伝えた方が分かりやすい気がするのだけど、そのへんのことあんまり覚えてない……。
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