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結婚式でかけたい『This Must Be The Place』

      2020/03/17

結婚式で流したい曲ってあるじゃないですか。
まぁわたし、多分結婚できないし、結婚できても式はやらないだろうなと思ったりするんですが……。
そんな私でも、結婚式をやるならこの曲を流したいなーというものがあります。

トーキング・ヘッズ/ディス・マスト・ビー・プレイス
ブライト・アイズ/ファースト・デイ・オブ・マイ・ライフ
ビートルズ/ウェン・アイム・64 か オール・ユー・ニード・イズ・ラブ
ビーチボーイズ/素敵じゃないか か 神様しか知らない

こんな感じですね!
穏やかで温かくて、ハッピーなフィーリングを持つ曲が基準になっている気がします。
日本の音楽家でも、七尾旅人さんや岡村靖幸さん、小沢健二さんなどにはそんな曲もたくさんあるのですが、なんか日本語の歌だと直接的過ぎて恥ずかしい感じがします……。
来賓者に聞かれると、なんかちょっと恥ずかしそうじゃないですか。
私の音楽の趣味なんて全然知らない人もたくさんいらっしゃるのだろうし。
あぁ、でも矢野顕子さんだったらいける気がする。
ひとつだけとか最高では。

トーキングヘッズは最近好きになったんです。
前々からもちろん聞いてはいたのですが、アルバム全てを聴き直してみる中で、いくつかの曲の良さを再発見できたのです。
その中でも特に好きになったのが、このディス・マスト・ビー・プレイスです。
曲も良いのですが、歌詞もほんとに素敵……。

心臓が弱いまま生まれてしまった

という意味の歌詞があって、なんかそこがいいんです。

私は出来の悪い人間です。
まともになろうと努めているつもりなのですが、どうにもできない部分がたくさんあって、日々へこむことが多いです。
人として「弱い」のだと思います。
私の多くの部分が人間の平均よりも劣勢です。
昔は、自分が弱いという事実から目を背けながら、自分の強さを探したり、他人の弱さを探したり、強い人に憧れたりしていました。
しかし人生の半分ほどを生きてきて思うのですが、自分が弱いことを認めないといけない瞬間って多いですよね。
自分が強い、優れている、と思っていると、折れなきゃいけない時にも強がってしまうことになる。
人からもらえる言葉を素直に受け取れずに、心の中で言い訳をしてしまったり。
弱いところを発見すると、「そこを必ず直して、弱いところを減らしていく」と奮起しなければいけないと思っていたけど、人間って根っこの部分は早々変わらない。
簡単に変えられるところだらけなわけはないのだし。

僕たちの心臓は弱い

という言葉が、なんだかすごくしっくりきました。
生来弱い存在なのだと。
「弱いんだから仕方ないじゃん」という開き直りは良くないのですが、でも、人間は常に成長していくことが命題なのだ! と思い込んでいるのもちょっとつらいですよね。
もともと、弱くて当たり前なのだから、強くなれたり成長できたりしたら儲けもんだ、くらいに思っているのがちょうどいいような気がします。

曲も良いんですよ。
ちょっと南米っぽいテイストと、トーキングヘッズらしい気が抜けたような演奏がとてもよい。
なんか聞いたことのない曲調なんですよね。
歌全然始まらないし。

↑このビデオだと、イントロが短縮されてますね。
シンセのほわほわしたメロディ、ちょっと泣けてきます。
最後の「うー……」のところ、本当にいいわぁ……。

歌詞も本当に素敵。
ラブソングとして一級品です。
翻訳しているサイトがいくつかあります。
一つの楽曲に対していくつもの翻訳がある、という時点で、この曲は名曲と呼ばれてしかるべき作品ですよねぇ。

https://blog.goo.ne.jp/tama-4649/e/811c9f5390f765abd46c437817e683cb

ビデオを探していると、こんな映像も見つかりました。

This must be the placeのタイトルの映画が数年前に公開されているとは思っていたんですけど、劇中でこの曲が歌われるパートがあるようです。
この映画の監督はイタリア出身。
君の名前で僕を呼んででも、主人公がトーキングヘッズのシャツを着ていたけど、あれもイタリアの映画。
イタリアではトーキングヘッズが流行ったのかなぁ……。
そういう、国ごとで文化がどのように受容されたのかっていう話、興味深いですよね。

Andymoriというバンドも大好きなのですが、代表曲の1984にも

かよわい僕もきっとその後に続いたんだ

というフレーズがあります。
いいですよね。
良い創作家って自分の弱さを受け入れて、そこと向き合っている人が多いんだなって思いました。

こうやって考えると、僕にとって理想の結婚式というのは、穏やかなものなんですね。
華やかであったり、祝祭的なものではない感じ。

最近、宮崎駿さんの発言やエッセイを集めた本を読んでいます。
千と千尋の神隠しの公開時のインタビューで、これは成長を遂げる物語ではないと語っていました。
自身の人生を振り返って、「何十年もずっと同じところをぐるぐるしていた気がする」という感覚があったのだそうです。
そう考えてみると、ジブリ映画では、子ども(メイちゃんやキキ)は成長するけれど、大人はあまり変化をしないまま物語が終わっていきます。
ただ、そんなテーマ設定で作られた作品で、宮崎監督はついにアカデミー賞まで獲得してしまいます。
人間性で変えられない部分があるとしても、技術力は伸ばし続けられるのですねぇ。

あとは、人を人材としての価値で観るようになってしまったことを憂いてもいますね。
アカデミー賞まで獲った人がそう言っているんだから、きっと今の日本はそうなっているのでしょう(笑)。
宮崎駿さんは思想もとても面白くて、喋り言葉も書き言葉も洗練されているので、本を読んでいてもすごく面白いです。

話があっちこっちに飛んでしまいました。

ディス・マスト・ビー・プレイスは、僕が結婚や家庭に見る理想が言葉になっているんです。
すごいよー。
きっとそれぞれ、結婚観って違うんですよね。
面白いもんです。

 - ラブソング, 音楽

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