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アバターはエイリアン2+ベトナム戦争 キャメロン論

      2020/03/17

エイリアン2を観なおして思ったことがあるので、ちょっとキャメ論の補足として書きます。

・2作の設定の類似点
アバターで、地球人が他の惑星を植民地化し続けているという部分はエイリアン2でも同じでしたね。
植民地惑星でエイリアンと人間が戦う……というのはアバターと同じシチュエーションですね。
ただしエイリアン2では、エイリアンの側が超極悪生物だったので戦うしかなくなってしまうというお話。
ただエイリアンの女王は、リプリーとの母親同士の対決になるので、エイリアンもちょっとかわいそうな気がしないでもないですよね。
エイリアンはあくまで純粋な生物であって、悪意を持った存在ではなかった。
むしろ作中で「悪意」を示すのは、資本主義の犬的な企業の弁護士だったりする。

・アバターはベトナム戦争だった?
また、エイリアン2に参加していたスタッフの意見として「キャメロン監督はSFでベトナム戦争をやっている」というものがありました。
それに対して監督は
「ベトナム戦争はSFのようなものだ。最新鋭の武器を持った米軍が、旧式武器しか持たないベトナムに敗退した。それがSFのように感じられる。エイリアン2でもテクノロジーの敗北が示唆されている」
と語っていました。
これってエイリアン2よりも、アバターに当てはまるコメントだなと思いました。
アバターで描かれる宇宙人たちの世界はベトナムとは異なる部分が多いですが、資本主義社会の象徴的な軍隊を持つ人々が、故郷を守ろうとする人々にゲリラ戦で敗北するという部分はベトナム戦争からインスパイアされているんですね。
面白いお話でした。

・キャメロンの機械人間へのアプローチが始まる
なぜエイリアン2を観返したのかというと、ターミネーター2で「機械が魂を得る旅の話」ということを書いたのですが、エイリアン2でも機械が頑張るシーンをやっていたんですよね。
1では機械は会社の命令を遂行するために、主人公たち乗組員グループの命を見捨てるような行いをしました。
その展開自体は「2001年宇宙の旅」みたいなものなので具体的な説明はありませんでしたが、2ではまた裏切りそうな展開をしておいて、実は裏切らなかった! という、すごくいいエピソードになっていたんですよ。
キャメロン監督はエイリアン2の製作にあたって、1を観た人たちを満足させる部分と裏切る部分の調整にすごく気を遣ったと語っているんですね。
だから、1を観た人は、あそこでまた機械が裏切りやがった! と一瞬思わされてしまうはず。
しかしキャメロン監督は、「機械も人間のことを思いやることができるんだよ!」的な、熱いメッセージを付加させたということなのです。
そして最後にもこの機会は女の子を助けたり、リプリーに「人間にしてはやるじゃないか」とねぎらいの言葉を掛けたりします。
主人公が労われるのって大事ですよね……最近の日本のアニメや映画は、登場人物が労われ過ぎ褒めすぎ慰められすぎな気がしますが……(笑)。
ただここでは、魂を持つといったところまでは至っていないように思います。
この取り組みが、のちにターミネーター2にもつながっていったんじゃないかなと思いました。

あと、人間ではない存在もとても多く登場しますね。
人間に近いけれど人間ではない存在、というモチーフに囚われている感じがする。
2シーズンで打ち切りになったダーク・エンジェルも、主人公は遺伝子操作によって作られた存在でしたね。
純粋な人間ではない存在を通して、人間とは何かということを突き詰めようとしているのかもしれませんね。
ダークエンジェルも観返してみると面白いかもしれないなー。
当時リアルタイムでビデオレンタルしていました……。
なんとなくそのオチを見て、AKIRA好きなんじゃないかなーと思った記憶がある。

 - ジェームズ・キャメロン, 映画

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