終のステラの感想 221026
終のステラ、プレイ終了。
泣きました。
だめだった。
文章の力が強すぎる。やはり圧倒的だ。
確信したのだが、俺が一番好きな文筆家は田中ロミオさんだ。
凄まじい言葉の配列。
物語を最高に輝かせる文がある。
力がなければ成し遂げられない技を見せつけられてると思う。
本当に文章が上手いです。
泣く場面について。
自分が家族を亡くしたばかりだから、終のステラの物語や言葉に泣くんだろうなとは思う。
思い出すだけで涙が出てしまうような作品がいくつかあるが、まぁ、わかりやすく、自分の環境や経験にかする
こうあってほしいよな、というようなストーリーが多い
終のステラもそこに加わってしまった。
めっちゃよいです。
まぁ、「泣く」ような感情の動きって、自分ができなかったことや、しないことにしていることについての物語であることが多い。罪悪感によるものともいうかもしれない。岡田斗司夫さんがそんな話をしていた気がする。
父と娘の話だったのであった。
「親子」の関係は多くの人間にあることだし、その関係がなくても親子の在り方には関心がない人はいないので、コンテンツのテーマとしては扱いやすい。
ただ、人の娘であった経験のない僕を泣かせるあたりは、テーマの抽象化と伝達技術が卓越したものだからだと思う。すごいのよ……。
ほかの田中ロミオさんの作品で、「弱くてごめんね。生まれ変わってもまたあなたのことを生みたいって思うくらい好きだよ」という言葉がある。僕はそのシーンで泣く。
おそらく僕が母親のことが好きではなく、母が母親としての機能を備えておらず母親としての務めを履行しなかった人間であるとの認識を持っているから、そのような言葉に触れることで、いわゆる脳にすり込まれている「母親像」のありかたの理想を見せられているような気になるのだと思う。
そんで、多分、「俺はこういう母性を求めてるんだな」という自分の欲求に気づかされるというか。
それはグロいな。
でも、なんか自分の欲求を越える物である気もする。
俺は俺の涙に理由をこじつけようとしすぎだろうか。
このシーンの良さを、当時付き合っていた女性に話そうとしたところ、泣きそうになって言葉を継ぐことができなかった。
↑の台詞を彼女に言葉で伝えようとしたところ、「これ以上話すと涙我慢できん」と思ってしまって言葉を継ぐことができなかった。
「話だけで泣きそうになるぐらい好きなもののことを、私は教えてもらえないの?」と、言われた。
たしか川崎のスターバックスでのことだった。
終のステラに戻ると、若干の不満点や消化不良感は見られなくはない。
主人公が取る選択だが、提示されたもう一つの選択肢にいかない動機がもうちょっと示されていてもいい気はした。
まぁ、「嘘」があったから、そこが一つの大きな動機なのかな。
その前の、フィリアを主人公が突き放す展開ら辺もちょっと唐突感がなくはなかった。
でも、物語で気になるのはそのくらいであって、あとは一級品だった。
事前に「ちょっと短い」って感想を見かけていたけど、長尺ゲームに浸っている人からしたらそうかもしれないけど、この物語に対しては十分な長さだったと思う。最高っす。
最後の章良すぎ。こういうのがやっぱりいいんですよね。
物語の全体として、展開がいっぱいあるから面白いです。
シーンごとに、物語の役割がはっきりしていて印象に残りやすい。
物語の進展とアクションが伴ってるからやっぱり飽きない。
独語の余韻すごすぎます。
最終章、5回読み直したけど、まだ泣きます。
やっぱり言葉がすげぇよ。あー。ネタバレしまくりたい。あー。
価格が、豪華版が一万円、ちょい豪華パッケージ版が五千円、データ版が二千円とのことだった。
自分が買ったのは一万円版。
ノベルゲームとしては比較的簡素(素材が少ない≒制作費を抑えられる)な作りではあったとはいえ、豪華版とかちょい豪華版がないと、制作費は回収できないだろうと思う。
まぁ、ゲームもいろいろな売り上げの作り方を模索しているのだろうなーと思いました。
メインの声優さん三名が良すぎ。
特にフィリア良すぎ。
郷田ほづみさんは、『ボトムズ』で声優を務めていたことが抜擢の理由だろうか。
ロミオさんがオススメしていた作品である。
ボトムズも人類の進化についての話があった気がするので、内容的にも関連性はあるように思う。
プレイし終わってから、作品の紹介ムービーを見たけど、バリバッリにネタバレってる気がする。
やっぱり何も知らないでプレイしてよかった。
ノベルゲームの典型的な例として、一枚絵は物語の盛り上がるところで使いたいので、物語後半に充てられることが多い。
作品の宣伝の際には一枚絵を使うことが多くなると思うのだが、そうすると必然的に物語の後半の絵を出すこととなってしまい、そこにはネタバレを含むことが往々にしてある。
ゲームはあんまり安くないので、購入前に販促素材には触れておきたくなるのが購入者の心理だと思うが、その過程でネタバレを喰らう可能性があるのが怖い。嗚呼。
マジでみんなに勧めたい気持ちでモリモリ……。
この凄まじい物語が、PCゲームユーザーというニッチな層にしか届かないのはもったいなすぎる。
ロミオさんの作品って海外のドラマとか映画とかになっても作りやすいと思うんですよね……。
ただロミオさん作品のアニメ化はそんなにヒットしていない。
AURAとかコケたんじゃないかしら……。
でもそこを超えて、もっと一般層に届きそうなメディアで、もっと広まってほしいのですが……ムズいっすよね。嗚呼。
KEYってブランドがやたら泣きゲーに走るイメージがあったので、この作品をやってるとちょっと心配だった。
でも田中ロミオさんだったなと思う。よかった。
リライトもやるべきなのかな……でも原案が田中ロミオさんではないと聞いているので、田中ロミオさんを求めるとちょっと肩すかし感あるかなと心配している。
でもメインシナリオライターがロミオさんならやるべきなんだろうか……。
・今日聴いた曲
アルバムからの先行配信曲として聴いていた時は全然ピンとこなかったんですけど、今はもう惚れ込んでいる……。
恥ずかしながら、dynamiteもハマる前に何回か聴いてたんだけど、全然ピンとこなかった記憶がある。
何なんでしょうね、「ピンとこなかった音楽にいつしかハマりまくってしまう」現象。
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