神の御手はいずこ 220721
フジロック、ヴァンパイア・ウィークエンドが出る日だけでも行くの、ありでは?
と思って現実的に調べてみたら、チケット代が一日分で2万2千円、交通費でも1万5千円以上飛んでいく。
これは無理や……。
自分のワーキングプアぶりを嘆くしかできない。
「Everlasting Arms」という言葉が気になって、調べてみたら、キリスト教においては神の御手という意味合いで使われるっぽい。
ヴァンパイア・ウィークエンドのソングライターは、キリスト教に大きな影響を受けていることは間違いないので、そういう意味か。この次のアルバムでは「僕のクリスチャンハート」なんて歌詞すら出てくる。
エズラはユダヤ系で、父親は精神科医らしい。
神様の御手なんてないんでしょ? という想いがあるのだろうと想った。
やっぱり、英語圏の文化を理解しようとするなら、キリスト教のことを勉強しないといけないんだよなと想う。
でも聖書を5年ぐらい前に買ったきり読んでいない。
堕落した人間だ。
それにしてもヴァンパイアの3rdばかり聴くようになった。
このアルバム自体、全然好きになれていなかったのだけど、歌を活かすために構築されたプロダクションなんだなと思うようになったら腑に落ちた。
もともとヴァンパイアは曲を作る人間がフロントマンのエズラと、キーボードのロスタムの二人体勢だったけど、3rdになってエズラが歌詞とメロディ、ロスタムが楽曲制作の専任体制で挑んだとのこと。
シンガーソングライターを、トラックメイカーがプロデュースしたような作品だったのだなぁ。
なので、エズラの歌いたいことが全面に出てきたように感じる。
なんか歌を聴いてると泣きそうになる。
エズラは真面目で性格が良いのに、なんでこんなに苦しそうなのだろうと思う。
なかなかそういうミュージシャンっていないですよね。
フラジャイルなポップスター。
ピュアさとフラジャイルさを演じる人は多いけれど、この人って、多分本当にこうなんだろうと思う。
僕は優しい人の作る音楽が好きになることが多い。
フィッシュマンズ、アンディモリ、平沢進さんとか。
岡村靖幸さん、ウィーザー、レディオヘッドは、なんか、優しさをそこまで感じないかも。なんでやろ。
ヴァンパイア・ウィークエンドのインタビューを読み返すことにする。
音楽でも映画でも、海外の作家のインタビューは面白い。
映画でも音楽でも、日本で「インタビュー」というと、作品についての話は宣伝効果が期待出来るないようばかり、あるいはインタビュー対象の好感度上げを狙うものばかりで、面白いものは稀にしかないと思う。
アンビリーバーズって、ヴァンパイアにしては珍しく、「サビのある曲」なんだよな、と今さら気付いた。
ヴァンパイアの曲構成は変わっていて、サビがない。
サビに当たる部分では「おー」のようなかけ声だったり、演奏がエクストリームなパートに突入したりと、いわゆるコーラスの歌がないという不思議な作りになっている。
ほとんどの曲がそうなのだが、楽曲はキャッチーに感じる。変なバンド。
ヴァンパイア・ウィークエンドには、3年前に4thが出たあたりでけっこうハマって、歌詞を読み直したりしてた。
その一環で3rdもけっこう聴き直したのだけど、本当に全然はまらなかった。
正直、『Everlasting Arms』は、何回も聴いていたはずなのに、全く記憶になかったほど。
でも今ではアルバムで一番好きな曲になった。
人生って何が起こるかわかんないよなぁ……。
こういう発見があると嬉しい。それまでよりも好きなものが増えたとか、楽しめるものが増えたとか、そういう嬉しさ。
苦しい時に人に支えてもらうという経験が久しくなかった。
にも関わらず、その有り難さに気付かずに何事も無かったかのように過ごした。
もう一度笑顔が見たかったなと思う。
・今日聴いた曲
「Leaning On The Everlasting Arms」の有名なバージョン。
特に感慨はなく、神への愛と感謝を歌ったものなのだろうなと思う。
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