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経営者を気持ちよくさせるという仕事

   

岡田斗司夫さん、堀江貴文さん、ひろゆきさんが喋っている動画を見ていて、非常に興味深い言葉がありました。
堀江さんの著書『わが闘争』に触れる形でひろゆきさんが言った
「経営者って、やたら自伝とか出したがるじゃないですか」
という言葉です。
この言葉で、自分の頭の中に会った断片的なものが一つに繋がったような気がしたのです。

以前勤めていた会社に、毎月、薄っぺらい経済情報誌のようなものが届いていたんです。
定期購読をしているらしく毎月届くのだけれど、誰もそれを読まない。
僕も暇な時に目を通したことはあったのですが、経済ニュースみたいなのがちらほらと書かれているのと、名前も聞いたことのないような中小・零細企業の経営者とかのインタビューが載っているくらいだったのです。
自分が経済にあまり興味がないせいか、全然面白くなかったので、すぐに読まなくなりました。

少し経ってから、取引先の人が会社に来た時にその雑誌を見て
「あ、○○だ。てことは、インタビュー載せてもらったの?」
と言っていたんです。
僕は事情をよく知らなかったので、詳しく聞いてみると、雑誌を一定期間定期購読する契約をすると、その雑誌にインタビューを掲載してくれるというシステムなのだそうです。
はじめは、お金を払ってインタビューを載せてもらうことに何の意味があるのか、まったくわかりませんでした。
ただその雑誌の変わっているところは、インタビュアーが経済について詳しいライターとかではなくて、芸能人が務めているのです。
テレビでよく見る大物とかではなく、安いギャラで押さえることができそうな感じのレベルと言えばいいのでしょうか……。
お笑い芸人などはいなく、グラビアアイドルとか、昔はよくテレビに出ていたタレントとかがラインナップだったと思います。
あと、元プロスポーツ選手が意外と多かったです。
もしかすると、会社の経営者にはスポーツ経験者が多いので、スポーツ関係の人がいると共通点を見出してもらえて、契約に繋がりやすいのかもしれないですね。

もちろん、経済情報誌にインタビューが掲載されるということは、多くのメリットがあると思います。
会社の存在を知ってもらえる、経営者がどんな人間なのかを知ってもらえるわけですから。
仕事の依頼が来るかもしれませんし、そうでなくても横のつながりが生まれるかもしれません。
けれど、こんな薄っぺらい、市販されているかもわからないような情報誌に掲載されても、なんの意味もないんじゃないかとずっと思っていました。

そこにきて、ひろゆきさんの言葉です。
「社長ってやたらと自伝を出したがるじゃないですか」
これはつまり、自己顕示欲の強い経営者が多いということではないかと思ったんです。
それまで自分の中では、人が経営者になる動機というのは、自分のやりたい仕事をやるためだとか、収入を増やしたいだとか、一緒に仕事を続けていきたい仲間がいるからだとか、そういう理由だと思っていたんです。
けれどもしかして「社長」という地位に憧れを持っている人も多いんじゃないか、と思いました。
それは、「クリエイター」という仕事に憧れる人たちと同じようなものではないかと。

世の中、「人からどう見られているか」が気になって仕方がない人って、けっこう多いんだなって思っていたんです。
そういった点ともつながります、「自己顕示欲の強い社長」という存在。

少し調べてみる機会があったのですけど、ここまでに書いた経済情報誌のような存在が、ネット上にも多数あるようなんです。
経営者のインタビューが載せるサイトで、インタビュアーは芸能人というもの。
もしかしたら経営の母体は同じなのかもしれません。
掲載されているインタビューを読んでいると、会社の業務の具体的な内容や、経営者の持つビジョンや哲学などは特に書かれていません。
起業するまで何をしていたか、起業するに至った経緯、会社がどういうふうに成長してきたか……というような話を、インタビュアーが褒めちぎりながら展開していくという内容。
いくつも読んでいませんが、どのインタビューもだいたい同じような内容でしょう。
それらのサイトがどういった形で収益を上げているのかはわかりませんが、インタビュアーにタレントを起用している以上、それなりに経費が掛かるはずです。
インタビューを掲載してもらっている会社は、いったいいくら払っているのでしょうか……。

社会で働く前は「社長っていうのはすごい人ばっかりなんだろうなぁ」と思っていたのですけど、そうでもないことも多いような……。
行動力と運さえあれば、だれでもできてしまうことが多いような……そんな風に思うようになっていました。
そんななか、いろいろな人と知り合う機会があったであろうひろゆきさんの、そんな言葉ですよ。
社長は、自分を語りたがり、会社を、会社で働く人間を誇りたがる。
クリエイターが、「ハイセンスな俺」「そして良く出来たコンテンツ」を語りたがるのと同じ。
そして自分の恋人を自慢したがり、自分たちの関係がどれだけ特別なのかを語りたがる高校生とも同じようなもんではないだろうか……そんな風におもってしまったのでした。

そして、そんな風に経営者を気持ちよくさせるという仕事が成り立っているのだということにも驚きました。
自分の知る限りでも一つの雑誌が発行され続けていて、二つのサイトがあるのです。
「芸能人がインタビューにきてくれるのか、ヘェー!」って思って、謝礼を支払ってまでインタビューを受ける経営者が、世の中にどれだけいるのだろう……と思うのですが、数限りなくいるのでしょうね。

経営者って別にそこまですごい人じゃなくてもなれるし、バカなこと考えてる人もたくさんいるよなーって話でした。

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