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評論 221115

   

「評論家気取り」という言葉をちょいちょい見かける。
お笑いとかYouTuberの界隈でよく見る気がする。
多分Twitterとかが流行るようになってから……ここ10年ぐらいの話だろうか……評論とか批評が、かなり冷や飯食わされ気味になってる気がする。
理由をいくつか考えてみると、
・ネットでクリエイター自身が発言することが増えたので、他者が評論や批評することに価値を感じない人が増えた
・ここ4~5年ぐらいで「考察」がブームになり、多分、「作家が答えを決めているが謎要素にしている事象についてのみ論じることが面白がられる」風潮ができた
・思考停止して快楽に浸ることをコンテンツ摂取の目的とする人が増えている(元からいたのかもだが)
などがあるかなぁと思う。
ただ、Twitterにしても、お笑い界隈以外で「評論家気取り」って揶揄を見かけることってない気がする。
僕は音楽や映画が好きだけど、その辺のジャンルで感想や偏愛ぶりを書いても「評論家気取りウザ」って言説は見ない気がする。僕が見かけてないだけで、たくさんあるのかもしれないけど。
でもKポップ界隈ではMVの「考察」みたいなのが流行るけど、「考察班優秀」みたいな褒めそやしすら見かける気がする。(まぁ実際、その辺は作り手が考察を促すように作ってるはずだし)

昔岡田斗司夫さんが、よしもとの芸人と絡んでいた頃に(岡田さんは一時期よしもと所属だったはず)、「芸人って、意見をする人に「じゃあお前がやってみろ」って言いがちですよね」って話をしていた。
たしか「料理の評論家に対して料理人が「じゃあお前が作ってみろよ」とは言わないじゃないですか」って話をしていた。
そのことに対する根拠についての推論を話していた気がするけど、内容は忘れてしまった。
確かに、料理人が「お前料理作ってみろよな!」って言ってるのは見たことない。
あと料理の感想を話していて人が「じゃあお前が料理を作れよ!」ってクソリプを飛ばされているのも見たことない。
米農家とか米ファンが「お前が米作ってみろよ!」って言ってるのも見たことがない。なんか不思議な現象。

服を買うときに「もうちょっと色が明るかったらなぁ」とか「袖が長かったらなぁ」とか思うことがあるが、そういった服への感想に対してアパレルデザイナーが「じゃあお前が作ってみろよ!」って言ってるのは見たことがないし、みんな服について思ったことは自然にめっちゃ言う。
ただ、納得いかない点があるにしても、その服が必要であれば買うことはあるでしょう。
納得いかない点と同時に納得できる点も内包していれば。

お笑い芸人自身が「じゃあお前がやってみろ」と言っているのを見かけることはあるので、お笑い芸人自身が振りまく言説に触れた感化されやすいファンが「評論家ぶりファンウザ!」とまねっこしているのかなと思う。(後々書くけど、「信仰心の強さ」「盲目ぶり」を自身のウリとする人もいるので。『パラサイト』のリスペクトさんと一緒ですね。

評論とか批評と、深読みとか考察をごっちゃにして考えている人が多いのだろうなとも思う。
これも多分紙媒体の雑誌や書籍のように、知識を集積して前提となる情報を共有しながら深みを目指していくような機会が失われてことも影響しているのだろうとは思う。
日本語のネットメディアの限界。

敬愛するジャーナリストがメディアでインタビューを受けている際、「思い入れがないものを批評するのってやっぱり難しいんじゃないですかね」と言われた際の返答が、自分の中での批評の基準になっている。
以下引用。

「いや、批評をするのに思い入れなんて必要ない。ファッションに関して言えば、対象はモノなわけだから誰でも触れられるし、誰でも見られるし、誰でも着られるんだから、それをそのまま、他の何かと比較して、その共通項と差異を提示するだけでいい。まあ、そんな風に思い入れ云々という話が出てしまうのも、元は言えば、僕ら、批評家が悪いんですけどね。モノを見る時は、角度を変えるだけでいろんな風に見える。例えば、一頭の象を見た時に前、後ろ、斜め、それぞれで全然見え方は違いますよね? 批評と言うのは、そのそれぞれの角度からの見え方について記述することです。あるいは、象とキリンを並べた時に、何がどう違うかをただ記述すればいい。そうすれば、一頭の象に対して、また違う見え方がしてくる。そういうものです。対象に思い入れがあろうとなかろうと、角度が違えば、見える景色も違うはず。それが何よりも重要で、象の鼻が長かったり、耳がデカいことに何か意味を見出そうとするのは批評ではない。そういう意味では、ポップ音楽の世界でも、もはや批評は絶滅寸前なんです。自分の何かしらの思い入れを語ることは行われているけど、それを俯瞰して、時代という軸で見るとか、同じ時代にある違うモノと比べて語るという行為は誰もやらなくなってきている。そもそもその必要性を消費者が感じなくなってきていて、誰もがテイストとフィーリングで良い悪いを決めることに終始している。」

要は、「他の何かと比べてどう差異があるのかを言語化する」「一つの対象を色々な位置から眺めてみる」ということ。
これは「評論家ぶるぞ」と思わなくとも、普通、人はすることだと思う。
評論家となると、より専門的な技術を用いたり、対象についての理解を深めるために時間をかけたりする、という工程があるということではある。

コンビニでおにぎりを買う時に、いろいろある味を比べてどれを食べたいか決めるはず。
そこには厳然とした「差異」があり、差異を比較しながらどれを食べたいか考える。
その対象がお笑いであったとしても、何かを好きになり、何かを好きにならないとしたら、それは、それらに「差異」があるから対象に接するときの自身の心的反応にも違いがあるということ。
受け取り方が違うのは当然のこと。同じ芸人なんていないわけですから。
しかも同じ芸人の中でも、「このネタは好き」「このネタはそうでもない」という判断がある。
差異があるからですよね。

生物は、行動を選んで生きています。
脳らしき器官をもたない生物でも、自分が生きるために環境や摂取する物を選んでいる。
自分がいるべきではない環境を判断して、それを避けるように活動する。
どの生きものも選んでいる。
「比較」はどの生きものでもする。

人間も当然そういった「違い」を感知する。
人間の脳は大きいので、何かに触れる時に、記憶にあるものと同じか違うかを判別しようとする。
それは当然な「反応」として行われる。
そこで「違う」「同じ」とだけ判断をする人間もいれば、「何が違うのか」「どこが同じか」と考えたりする人間もいる。
おにぎりを買うときに、自分はうめぼし味が一番好きだとしても、売っているコンビニによってうめぼし味にも違いがある。
似ているものがたくさんある中でも、自分に最適な物を選ぶ。
厳然と存在する差異から、選び出すことを日々の営みの中で、深く意識することもなく行ってる。

そのように感じ取った差異や、ある物を選択する理由を言語化すると、ことお笑い分野では、なぜか「評論家ぶり」となるように思う。
言語化すべく努力をすると、「評論家ぶる」と評されてしまうことがあるのかなと思う。
「評論家ぶってる」も評論にあたる言説であるように思うのだが、その矛盾を「評論家ぶり評しマン」さんはどう思っているのだろう。。。
上記の文章では、好き嫌いと評論は関係ないとはっきり書いてくれているあたりも胸がすく想い。
批評的に見たら優れているとは言えないが好きなものとか、好きではないけど批評的に見たら優れていると判断できるものとか、あるじゃんね。
また、「こちらのほうがいいということはわかってるけど、自分はこれが好き」ということが、当然ながらある。
おにぎりの例えで言うなら、栄養バランスを考えた梅干しのおにぎりを食べるべき……とはわかっていても、鮭を食べたいから鮭を食べる、ということが当然ながらあるはず。
この判断にも理由があるのだろうけど、私は何も知識の無い人間なのでそこには踏み入ることができない。

まぁ乱暴な結論を言うと、「評論家ぶり」って言葉を使うのって、頭が良くなくて、知識を脳に蓄積できないタイプの人間が、多少なりとも知的な活動をすることが許せないんでしょうね。
あと思うのは、パラサイトでの「リスペクト!」さんのような人で、忠誠心を示すことでしか価値をアピールできないタイプの人。
そういうのって多少人語を解し、スマートフォンの操作ができるかもしれないけど、猿みたいなもんとしか言いようがないと私は思うので、

評論について気になってることがまだあるので、また書きます。

・今日聴いた曲

トムヨークが昔「お前等二度とテレビに出れると思うなよ」と脅されたことを曲にしたそう。

 - , 文化, 日記

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