てやんでい!!こちとら湘南ボーイでい!!

映画音楽本ごはんの話を、面白く書けるようにがんばります

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【ワイルドわんちゃん】野生の呼び声の感想

   

野生の呼び声を鑑賞したので、感想を書きます!

未鑑賞の方は、観る前に書いたブログを読んでください~

・宣伝とはだいぶ違う気が……

日本の宣伝だと、主人公のハリソン・フォードと犬が一緒に冒険に出る映画として宣伝されている気がするのですが、はっきり言って犬が主人公です!
完全なる犬犬映画です!
ぬくぬく育てられた犬が、社会や自然の厳しさを知ってたくましくなって、野生を取り戻す映画です!
決してハリソン・フォードが野性味あるイケイケおじいちゃんになる映画ではありません!
「最高の相棒がいればいくつになっても~」というコピーですが、マジで犬の映画でしかないです。
序盤からちらほら顔は見せるものの、ハリソン・フォードとワンちゃんが一緒にいるようになるのは中盤以降でしたよ……予告編とか観ると、ずっと一緒に居るかのように見えますよね?
ちなみに出血や暴力描写が映されないことからも、おそらくこの映画は子ども向けに作られています。
もしかしたらディズニーに買収されたために、企画当初よりも対象年齢を落とさざるを得なくなっての処置なのかもしれませんが。。。
それにしても『野生の呼び声』、日本ではパンフレットは製作されてないし、公式サイトもしょぼいし、冷や飯食わされすぎでは。。。

・ヒックとドラゴン過ぎる

内容ですが、中盤からラストにかけての展開が、びっくりするほど『ヒックとドラゴン』と酷似していました(笑)。
もともと、言葉を交わせない者同士の友情というテーマが、監督のクリス・サンダース氏がこれまでの作品で描いたものと通じるということは既に書きました。
しかし序盤から、ケルトっぽい音楽が使われていたりして、(ケルトなのか・・・?)「音楽がヒックとドラゴンっぽいなー」と思っていたのですが、ヒック~のシリーズで劇伴を務めたジョン・パウエルがここでも仕事をしていました。

・音楽がめっちゃヒックとドラゴン

この北欧が舞台のヒックとドラゴンでケルトっぽい音楽を参照しているのはわかるのですが、アメリカが舞台の『野生の呼び声』でケルトにする意味って、一体何だったのでしょう。。。
アラスカという極寒の地の旅が、雪に閉ざされる北欧と似た環境だからってこと?
主人公ワンちゃんが北欧ルーツの犬種ってこと?
謎。。。。
だから、ケルトっぽい音楽が流れると「いやヒックとドラゴンかい!」と心の中がざわついてしまいました。
実際、かなり似ている曲もたくさんあったんですよねぇ。

・具体的に似ているシーン

主人のピンチを音で関知し、助けに駆けつけるシーンはヒックとドラゴン1にもあります。演出とかまんまやったな。。。
その後、悪党が振りかざすこん棒をくわえて、悪党をひれ伏せるシーンも、2にありました。
白い雌に惹かれて人間よりも野生の集団に入っていく展開とか、白い雌との子どもが主人公との模様の混じった感じになっていたりとか。。。
雌と仲よさそうにしているワンちゃんをハリソン・フォードが付けていくシーンなど、3にモロにありましたね。。。
2と3はクリス氏は製作総指揮のポジションで参加しているので、ストーリーや画面作りにはかかわっていない気もしますが、完成品を観ていないとは考えにくいので影響を受けている可能性はありますよね。
というか、マジで、シリーズ全作品を3回以上観た身としては、ヒックとドラゴンみが目に入りまくって気が散るレベルでした(笑)。

まぁ、野生の呼び声の原作は1900年代初頭に発表されたものなので、こちらがむしろ先。。。
ヒックとドラゴンの方が野生の呼び声の影響を受けている可能性もありますが。。。

・自然の美しさ!!

映画の冒頭のお屋敷のシーンとかは緑豊かで、とても美しいんですよ。
で、雪国に入ってからは、画面が暗いし色味も寒々しいので、重苦しい雰囲気です。
それはワンちゃんが置かれる過酷な環境を我々にヴィジュアルを通して示しているのだと思うのですが。
でも、ハリソン・フォードと山奥を目指しはじめると状況が一変します。
雄大な大自然が色彩豊かに表現されていて、本当に自分が山に入っているかのような錯覚を起こしてしまいます。
木々の青や緑と、若草の萌える大地と、美しく咲き誇るカラフルな花々。
春の訪れの悦びを、絵で表しているわけですね。
こうした画面の色彩で前半と後半を対比すると、ワンちゃんが野生に惹かれていくのも理解できます。
これはやはり、アニメーションという、映像をすべて想像しなければならない分野で培われたクリス氏の感覚があっての表現では。
かなり感動しました。。。

・好きだったところ

ハリソン・フォードの役が、ワンちゃんの成長を喜んでいるところ、好きでしたね。
なんか、ハリソン・フォードが息子の死に引きずられ続けていたけど、それは息子に依存していたのではなくて、彼の成長を見届けて、送り出してあげたかったからなのかなと思いました。
その感じ、とてもいい……。
彼が、金を探すのに夢中になってしまうけど、やっぱりお金はそんなに要らないっすって考えを改めるところも好きでした。
まぁ、わざわざ見つけたお金を捨てる理由はよくわからなかったんですが。。。
資本主義とか文明社会否定をしたいのだとしたら、そういうテーマを積み重ねてきていないから、何にも通じないっすよね。

・惜しいところ

正直、作品としてのレベルはそんなに高くないです。
だから、面白かったんですけど、「このポイントを人に推せる」ってところがないんですよ。
「犬が自然に帰る」というコンセプトになると思うのですが、そのあらすじを聴いて興味を持つ人ってあんまり居ないと思うんですね。
特にワンちゃん映画だったら、「ワンちゃんは人間のことが大好き!」みたいなハートフル映画の方がウケがいいことは明白なわけで。。。
『僕のワンダフル・ライフ』みたいな。。。

なぜ2010年代も終わるというタイミングで、この映画の実写が作られたのか、あんまりよくわからんのです……。
自然賛美にしても、ちょっと弱いですし。

あと、正直、テンポが早く展開がせわしないので、ドラマが深く展開することなく終わってしまった印象です。
シーンの数は相当多いのでは。。。
人物造形がシンプル過ぎて、人間が「書き割り」でしかない。
説明的な台詞が多くいところからも、「人間」を深く書こうという意図はなかったのだと思います。
ワンちゃんが主人公なので、「人間」をがっつり描く必要はないといえばないんですよ。
ワンちゃん側の内面を描こうとしても、彼らは自身の言葉を発することができないので、人間を濃く書くと人間ドラマの方が重くなってしまうので。

あと、ハリソン・フォードの役は死ななくてもよかったのでは…?
と思ってしまいます。

この点は、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』を観ていなければ、もうちょっと評価できたのかもしれないです。
だってあちらは、「別れ」を真っ向から描こうとしたのですから……嗚呼……思い出すだけでウルッとしてくる。
『トイストーリー4』もそうか。

「愛しているからこそ離れなければいけない」という展開になっても、よかったのでは。。。
ハリソン・フォードの役が、ワンちゃんを見送ろうとするのが早すぎるような。。。
やっとできた仲間なのだから、もうちょっと執着してもよかった気がします。
あるいは、「このワンコは向こうに行くのがいいんだ」と決心できるドラマがあるとか……。
「楽しそうにしているところを見かける」だけだと、ちょっと弱い気がする。
原作がそうなのだったらしょうがないことですけど。

あと、音楽が流れてるシーン多過ぎです。
映画本編が1時間39分なのに対して、サントラの時間が1時間7分もありますよ!
もちろん、サントラに収録されている楽曲が劇場で流れたものよりも長いバージョンなのかもしれませんが、鑑賞した自分の体感としても本編の半分以上は音楽が使われていたかと。
長いんですよね。。。
これも、映画が「せわしない」印象になってしまっている一因なはず。
ヒックとドラゴン1のオーディオコメンタリーで、プロデューサーが、「この映画では音楽を流さないシーンを多めに用意した。それは英断だと思う」と評していたのですが、まさにそうなんですよね。。。
良いシーンを際立てるためには良い音楽を当てるだけじゃなくて、そのシーンに至るまでにも緩急を作っておかないといけない。
そのためには地味なシーンで静かな音楽を流す……ということではなくて、そもそも音楽を入れないシーンもあった方が効果的なことがあるんですよね。
サントラを聴いてみると、どの楽曲もクオリティが高くて、聴いているだけで情感を揺さぶられるものがあるのですが、「このシーンでこの曲が流れてた!」とシーンが想起されたりはしないんですよ。
ずっと音楽が鳴ってるから、かえって
もちろん映画音楽って、あとで聴き返して楽しむことよりも、映像と一緒に
この点も、ヒックとドラゴンと比べると……って話になってしまっていますね(笑)。

そんなわけで、もし、この映画に不完全燃焼感がある方は、ぜひ、ヒックとドラゴンシリーズを観て欲しいです。
僕個人の評価としては、
1は世紀の大傑作死んでも必見
2はクリエイター自身の不安が投影されまくっているモラトリアム的なたるみの出た佳作
3は大ヒットシリーズ終幕にふさわしい「別れ」とリーダーとしての責務も描いた傑作
です。
1は20回くらいは観ていますが、何回観ても、5カ所は泣き所があるんですよ…どうやったらこんなにすごい作品になるのか、ほんとに意味がわからないです。

 - 映画

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