【ENDGAME】Traffic/Dear Mr. Fantasy【エンドゲーム】
マーベル映画におけるポップソングの使い方ってとてもうまいと思うんですけど、中でもすごかったのが、エンドゲームのオープニングで使われたトラフィックの『ディア・Mrファンタジー』だったと思うんです。
そもそも、オープニングでは壮大なテーマ曲が流されるところなのに、ゆったりとしたカントリー調のギターアルペジオが響いてくるので、虚無感を演出してくれます。
それは、インフィニティ・ウォーを観て心に穴が空いたような心持ちになっている観客との心情にぴったり合うはず。
でも、ただ「曲調が良い感じに合う」というだけでは、わざわざ60年代のサイケデリックロックの曲を持ってくるはずがありません。
歌詞をよく読んでみると、それも、あの場面でのアベンジャーズの面々の心情を歌っているかのようです。
まるでエンドゲームのために書かれたんじゃないか? ってくらい、しっくりきます(笑)。
魔法使い(Mr. Fantasy),聴かせてくれよ
何か楽しくなるヤツを
何だって構わないから,暗い気分を晴らしてくれよ
歌うにしたってギター弾いても,景気よくやってくれ
みんなを笑顔にできるのは,アンタだけなんだから
ここで言う「魔法使い」を、ドクター・ストレンジと読み替えてみれば、未来を観たという彼が消え去っていったあとのアイアンマンの心境とはかなり近いのでは(笑)。
しかも、ドクター・ストレンジは、彼がドクター・ストレンジになる前に愛車でドライブをしているシーンでは、ピンク・フロイドの『星空のドライブ』を聴いていました。
この曲はデビュー・アルバムに収録されていますが、この時のフロントマンはドラッグ中毒と精神状態が不調だったことが原因で2nd完成前に脱退してしまいます。
彼の名はシド・バレットといい、ミスター・サイケデリックの異名をとる伝説的な人物です。
そんな曲を聴いていたドクター・ストレンジは、おそらくサイケデリック・ロックを愛好しているのでしょう。
きっとトラフィックも好きだったはず。
あぁ、そう考えると、ピンク・フロイドもトラフィックも、1stアルバム以降はサイケデリックな要素は薄れていきますね。
トラフィックの『ディア・Mrファンタジー』も1stに収録されていて、2ndでは中心的メンバーが抜けてしまったので、1stはかなり特別なアルバムです。
アベンジャーズの面々も、力を合わせて戦っては離散することを繰り返しているし、トラフィックとピンク・フロイドの選曲からはどこか諸行無常さを感じますね。
たった一度きり、過ぎてしまったらもう戻れない魔法のような時間。
日本のバンドとは違って、海外ではメンバーチェンジが多いですからね。
オチというオチもないのですが、トラフィックの曲に込められているのでは? と思ったことをつらつら書きました。
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