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キャメロン論 ターミネーター2は機械が魂を得る物語

      2020/03/16

キャメロン映画を観返していて、「キャメロンってこういう作家だったのか!」とひらめいたんです。
ただ、町山智浩さんの映画塾を観返したら、ほぼそこで語られている内容でした……。
自分で思いついたつもりになっていることでも、すでに見聞きしていた内容だったりすることが、人生ではまぁまぁありますよね。
人生っていろいろあります。
そういうわけで、自分が思いついたと思い込んでいたけど実は町山さんが語っていた内容については特に触れません。
町山さんが語っていなかったことについて、自分が思うことを書きます。
そうするしかありません……。

・魂の映画作家、ジェームズ・キャメロン
キャメロンって、人間の魂を描こうとしている作家だと思いました。
パーソナリティとか、社会的地位とか、身分とか出自や思想や宗教ではなく、一人の人間の魂の在り方を常に追求している。
彼が売れまくっているのは、そういった人類の集合知へのアクセスを続けているからではないかと思うんです。
僕はいわゆる集合知的なものはあると思っていて、スピリチュアルな考えではないのですが、同じ世界に生きている人間の多くが同じことを考えているという発想はおかしいものではないと思うんですね。
その点について詳しくここで掘ることはできませんが……。

彼の作品が世界中で観られているのはそれが理由ではないかと思うんです。
魂の在り方や、一人の人間の生き方を描くということは、宗教以前のアニミズム的な考え方に接近していく。
そうなるとキリスト教圏外でも受け入れられやすいのではいかなぁと思います。
全世界興行収入1位のアバターと、2位のタイタニックに迫っているアベンジャーズも、多くの価値観を持った人間がぶつかり合う、世界中のどこにでもある光景が描かれています。
またあの作品群も、物語の導入部分では、世界に起っている問題を起点に進んでいくことが多いので、そういう意味でも「集合知」的なものに上手くアクセスしているのではないでしょうか。
……私は集合知という言葉の使い方が、一般的な使われ方とは少し違う気もしてきました(笑)。

・魂を手に入れたシュワちゃん

ターミネーター2って、機械が魂を得る話なのだと思うんです。
SFでは長い間、「ロボットは魂を持つのか」というテーマが描かれてきました。
機械というのは人間の下した命令を聞くだけの存在です。
人間の担っていた仕事を機械が奪っていく中で、「では人間の人間たるゆえんとはなんぞや」という哲学的な悩みを多くの人が持っていた。
そこでSFというツールを使い、テーマを思索してきたのです。
間の手で作られた機械ではありますが、人工知能が発達していくことで、「人間らしい悩み」すらも持つことができるようになる未来が来るのではないかと予見されていたわけです。
ブレードランナーのような作品もそうですよね。
実際に、近年のAIの進化は目覚ましいものがありますからね……人間の仕事がどんどん機械に奪われて行ってしまいますよ。
それがいいことなのか悪いことなのかはわからないですけど、この先どんどんその流れが進んでいって、失業者が増えまくる可能性が高いのだそうです。
おそろしいわぁ……。

話がちょっと脱線しましたが、2でのシュワちゃんは機械らしからぬ行動を取ります。
それは映画のラストで、とどめを刺す際にジョンの教えた「ハスタ・ラ・ビスタ・ベイビー」と言ったり、溶鉱炉に沈んでいく時も親指を立てたりしているところです。
登場して来たばかりの序盤のシーンでは、彼は命令を守るだけの機械でした。
観ていると「全然融通きかねぇなぁ!」って思ってしまうくらいなんですけど、それは彼が最初にプログラミングされたことを遂行するだけの、ある意味原始的なロボットだからなんですよね。
そんな彼も、ジョンと交流するうちに少しずつ変わっていきます。
たしかサラが劇中で分析していたと思うのですが、ジョンは生まれた時から父親がいなかったので、シュワちゃんが父親としての役割(敵から命がけで守り抜く)を果たしているのです。
そしてラストに至って、彼は機械だったら絶対にすることのない「決め台詞」と「決めポーズ」を自らの意思で決めるのです。
特に最後のポーズなんて、我が子を安心させようとする父親を思わせる最高のポーズではないですか。
「心配すんな」とか「母ちゃんをよろしくな」とか、「グッドラック」とか、台詞はないけれどポジティブでしかないサインを示して死んでいくのです。
ジョンの父親の魂が宿っているのかもしれませんね。
魂の座の空白があったという。
シュワちゃんの名ポーズに、転送されてきた直後の全裸ウンコ座りがありますが、あちらは必然性のあるポージングです。
それに対して親指を立てたり、汚い決め台詞を使うことは「意識的」な行為にほかなりません。
つまり、意識が芽生えているんですよね。
それは魂を持ったと言い換えることもできるんです。

私は若い頃にカート・ヴォネガットのSF小説をいくつか読んだことがあって、「機械に魂が宿る」というテーマにすごく弱いんですね……。
なのでターミネーター2は、SF的に見てもかなり面白い映画なのだと思います。
キャメロン監督はアビスやアバターを作っていることからもわかるとおりで、SFにも強い関心を持っている人です。
なので、シュワちゃんの描き方は意識的なはず。

考えてみるとターミネーター2は、女性が強すぎるわけでもなくて、強いがゆえに狂気もはらんでいて、そこを男二人でうまいこと止めてたりする。
で、彼女を止めているうちに、男二人も成長していく……という、男女観が良いバランスの映画ですね。
この映画はサラが執拗に痛めつけられるシーンがけっこう長いので、観ていて辛いものがありますね……。
そう考えてみると、この映画も「女性が男によって抑圧されている」モチーフではあるんですね。

このあと、タイタニックとアバターについても書きます。

 - ジェームズ・キャメロン, 映画

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