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映画音楽本ごはんの話を、面白く書けるようにがんばります

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家庭を作らない方が良かったですね、と冷静に結論せざるを得ない 221031

   

父親の夢を見た。父が亡くなって2ヶ月は経つ。これからもあの人は夢に出てくるのだろうか。
舞台は父と一緒に暮らした生家。その家を退去して17年が経つ。今でもその家のことは思い出す。夢に出てくる。
生家で、僕の部屋のベッドの上に洗濯機が置かれていた。
何でそんなことになっているかわからないし、ベッドが水浸しになるのが嫌なので抗議したところ、父がそうしたと言うことだった。
僕は父に泣きながら抗議したが、「そんなの怒ることではない」と取り合う様子がなかった。
僕はそんな父の様子にさらにいらだって、「誰もあなたのことを尊敬していない。あなたは結婚しない方が良かった」と言った。
父がどんな表情をしたのか覚えていない。
夢はそこで終わったか、その場面は終わって次のシーンに移るかした。僕はその場面しか記憶していない。
父の姿は死去する時よりも若く、おそらく15年くらい前の容姿をしていた。

誰の目にも僕の家族は上手くいっていなかった。
父自身、多分老後の暮らしの中で、そのようなことは嫌という程振り返ってたんじゃないかと思う。
でも今となってはもう、父本人にそれを聞くことはできない。死とはそういうものなので。
父が生きているうちに、確認しようと思えばすることはできた。僕にはそれができる時間が長くあった。
とはわかっていつつも、僕は父に接触することができなかった。
多分このことの後悔はこれから先、自分の心の中で膨張し続けると思う。
どうにもしない、と決断したのは僕なのだから、これは仕方のないことだ。
この事実に耐える方法を模索しながらこの先の人生を過ごさなければいけない。
耐えられればよいのだ。

父に何かの時に詰められている際、僕は反抗として言葉を返さず沈黙することがよくあった。
「お前と天気の話なんかしたくもないんだよ。必要なことだけ答えろ」と言われた気がする。
何を父に問いただされていたのか覚えていない。
僕はそうするしかなかったなと今でも思う。僕にはどうしようもないことだった。
父がどんな心境であったかを聞いたとしても、しょうがないと思う。
多分父のことが許せなかった。母と兄のことも許せない。母と兄は今も生きているが、この関係性は、僕らが死別するまで変わらないと思う。

僕が発想を変えて、家族のことを全て許して、家族全体の状態が良好になるように努めるべきだったんだろうか。
でも十代の一人の少年があの時に、そういう考え方をできただろうかと思う。
無理だと思う。

社会学者の宮台真司さんの本に、映像学校の学生が撮ったドキュメンタリーの話をしていた。
たしか青年の映像作家が、父との関係に確執があり、実家に帰って父親と、確執についての話をするドキュメンタリーを撮ってたという。
確執と言っても、たしか、別に大したことではなく、コミュニケーション不足が蓄積しての不和だった、って話だったと思う。
宮台真司さんはそんな関係性はもちろんのこと、「そんなことを映像作品にしようとするメンタリティが稚拙。こんなんを観て上野千鶴子とかが涙を流してる」と、こき下ろしていた。
僕はそれを読み、確かにそんなものを作品にしなきゃいけないメンタリティってどうなんだろうと思った。
それを乗り越えないと人間として一人前にはなれない気がした。
あと創作をやっていたので、「価値のある作品」を作ることはできないだろうなとも思った。

結局自分は、乗り越えたり解決したりすることはできなかったので、家族のことを「考えない」ことにした。
とはいえ、病気やら介護やらと、年を取れば関わらざるを得ない状況が生まれることも事実なので、「籍を抜く」ぐらいしないと、まったく関わらないってことは実現しない。
難しいな。
みんなどうしているんだろう。

・今日聴いた曲
坂本龍一さんが12月に、オンライン配信のコンサートを実施するという。
映像はすでに、何度かに分けて収録されているとのこと。
「通してコンサートを行う体力がない」ためにこのような形式が取られたそう。
「元気でない姿」が想像できない人だなと思うのだけど。
悲しいよな。

 - , 日記

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