てやんでい!!こちとら湘南ボーイでい!!

映画音楽本ごはんの話を、面白く書けるようにがんばります

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不実の愛、かくも燃え 「気持ちよくなることしてるんですよ(笑)」

      2022/01/26

夢を見た。
暗い森の湿った地面の上にソファーが置いてあり、僕はメンズエステで施術してくれていた女の人と二人でそこに腰掛けている。
彼女は正面を向いて、にこにこしている。
正面にはテレビなんかが置いてあり、彼女はそれを見て笑っていたのかもしれないけれど、そのあたりの記憶は定かではない。
僕はそんな彼女の横顔を眺めている
僕が彼女と会うのは、久しぶりのことのようだった。(なぜそう感じたのかは覚えていない)
僕は自然に手を伸ばして、彼女の頬に触れた。
その肌は白くて、柔らかくて、みずみずしく、僕の中にある記憶そのままだった。
もっとも僕の手が彼女の頬に触れたことはないので、僕が触れたことのある部分の肌質から類推する頬の質感からは遠くないものだった、ということでしかないのですが。
彼女に触れている僕のチンポコは完全に勃起していた。
僕はそこで目覚めてしまい、夢は終わりました。

僕が最後にメンズエステに行ったのは九月の下旬のこと。
なので、それからすでに二か月強の時間が流れている。
その間いろいろ思うところがあり、メンズエステにはもう行くまいと決心したつもりなのだけど、心の底では彼女のことが恋しいのかもしれない。
夢の中で自分に嘘をつくことができる人間なんていない。
夢は、意識で蓋をした無意識が表出する世界。
見たくないと思っていたものもあふれ出してくる。

最後に一緒に過ごした時間、僕はほとんどずっと彼女の横顔を見ていた。
でもその横顔の記憶すら、今となってはおぼろげなものだ。
しかし夢の中ではその輪郭や細くて高い鼻、髪の長さやつやめきの具合、色合いなどもそのままはっきりと現れている。
夢って不思議です。

先日メンズエステ忘備録を書いたのですが、実はその後、そのセラピストさんのことをさらに2回指名しているので、そのことを記録したいと思います。
はい、もう、メンズエステにガチハマりしたと言えますね。
幸福感と、それを失ったことによる失意についての、心境が変化していく様を書ければなと思います。
お金を払ってサービスを提供してもらうという関係性を踏み違え、そこに本来望むべきものよりもなお多くのものを、僕は彼女に求めるようになった。
いや、求めるというような積極性はなく、与えてくれるのではないかという勝手な願望を抱いた。
行動は消極的でも、願望や想いは積極的に持つのは自分の難点なのだろう。
そんなことに気付かされた。
たちの悪い人間だ。わかっている。

そもそもメンズエステを体験した後の気持ちについてですが、そういうエントリを書くくらいには浮足立っていたし、興奮していました。
そう、はっきり言って、メンエス初体験後、即座に二度目のメンエス訪問を検討し始めました。
当然ながら、初回で施術してくれたセラピストさんをもう一度指名するつもりであった。
前回のエントリでは「他のセラピストさんも同じくらいの幸福感を与えてくれるものであろうか」とか考えていたのですが、ただでさえ一回一回の出費が大きいので、変に冒険するよりは、同じ人にもう一度触れてもらったほうがよいと判断しました。
言い訳をするなら、メンズエステ初体験だから感情が高まっていたのか、それとも行く度にそういった感覚を得られるものなのかを確かめたいという気持ちもありました。
一度目と二度目に違いがあるのか、また違いがあるのであればどのように違うのかを検証したい。

ただ、僕はワーキングプアなので、一発目の費用ですらけっこう無理をしてをねん出したことは確か。
これから通おうとしても二、三か月に一度といったところでしょう。
しかし2万5千円のエステに、年に四回通ったとして、支出は十万円に及びます。しかも医療行為ではないので医療費控除の対象にもなりません。
出せなくはないけど、十万円という額があれば何に使うか…
そう考えると、ずいぶん大きな支出をポンと決定していたんだなと思います
その支出を正当化するロジックが、今でも思い出せません。
あ、なんか家にあるものを断捨離してたら、そこそこの費用になったので、それを元手にした記憶があります。
おいおい触れようと思うのですが、僕は若い頃に創作活動をしていた時期があります。
その頃に自分が作ったものや、知人が作ったものが押し入れに残っていたのですが、それらが意外とお金になったのでした……。
トータルで五万円は超えたはず。
まぁ、あと、今年は完全にセックスレスイヤーだったので、スキンシップの必要性に気付かされた瞬間でもあったのでしょう。
(それにしても、スキンシップしてもらうにしても、もっと低価格で女性に触れてもらえるお店なんてたくさんあるのですけど……)

そんなわけで、メンズエステ初回訪問からだいたい一か月後に、再び予約を入れました。
女性に身体を触れてもらうためにお金の工面に奔走する35歳……自分がそんな哀れな人間になるなんて思ってももませんでした。
ただ、その時自分は大きな問題を抱えており、癒しを必要としていたのだとは思う。
問題の内訳として、主に仕事上で大きな問題が起こってました。
ここに詳細は書きませんが、人に話すと「そんなに酷い話あるの?」と言われるような状況に半年程度置かれていました。
今思い返しても殺意がみなぎってきます……。

エステの施術内容への期待としては、性的な要素もあったらいいけれども、それよりは幸福感を得たいという期待がありました。
やはり彼女に抱きしめられている時間は幸福なのです。
幸福感を得るために2万円以上の対価を払う。
身体的な体験に2万円以上払う。
安くはないと思うが、しかし、それに見合う価値はあると思えました。
ただ僕がその2万円以上をほいほい支出できる余裕がないというだけのことである。

また、彼女がすすめてくれた霜降り明星せいやの動画(前エントリ参照)で「俺は2時間コースでいつも行ってる」と話していたことも要因ではありました……。
彼女自身も「2時間以上のコースがおすすめです」とツイートしていた。
そんなこと言われたら、2時間以上のコースで予約するしかなくないですか?
2時間超えると何が起こるのだろう…エロいサービスが発生するのだろうか…。
俺が知らないだけで、90分と2時間の間には大きな壁があるようだ。
恐ろしい世界です…メンズエステ…。

7月の下旬。
予約前日になり、彼女からTwitterでメッセージがきた。
「ラブチキが明日やるみたいですけど、田中さん大丈夫ですか!?」
ラブチキとは、僕と彼女共に入っているオンラインサロンのことである。(コロチキのオンラインサロンに入ってみた感想
そうそう、前回はぼかして書きましたけど、そもそも僕が彼女のことを知ったのは、彼女が「ナダル」についてツイートしていたからなのだ。
そして僕はメンズエステに行き、彼女とお笑いの話をたくさんした。
当然ナダルさんおよびコロチキに話題がおよび、僕が入っている「ラブチキ」のことを彼女に話した。
彼女は、ZOOM会議では参加者全員が顔出ししなければならないと思っていて、それがネックになって入会していないとのことだった。
僕が「顔出ししたくない人は画面をオフにできますよ」と伝えたところ、「え、そうなんですか!? じゃあ入ります!」と言っていた。
その後彼女は本当にラブチキに入ったらしく、ZOOM会議に出たあとにちょっとメッセージのやり取りをしたりなどした
そんなところが、「もしかして俺はこの人と特別な関係を築くことができつつあるのでは!?」感を覚えさせたことは言うまでもないだろう。
ただ、この時はまだ、自分がただの客という身分で、彼女はサービス提供者に過ぎないという関係性をわきまえていたと思う。

話は二度目のメンズエステの前日に戻ります。
僕が入れた予約は19時スタートで2時間コース…21時に終了です。
ラブチキのZOOM開始が21時。
ギリギリ間に合わない…。
まぁ、メンズエステを早めに切り上げて、スマホからZOOM会議に参加すれば間に合う気はするけど、俺はクソリプをスピーディに送りたいのでPCから参加したい派である。
いや、もうなんだったら、21時から22時までの3時間コースで押さえて、メンズエステの部屋から参加するのもありなんじゃなかろうか…そんな選択肢もあった。
ノートPCを持って行けばクソリプ送りのスピードも落ちることがない。
メンズエステから参加する人間など後にも先にも出てこない…これはちょっとオイシイかもしれない…やたらピンク色の間接照明のエロい雰囲気漂う部屋から参加していたらコロチキにいじってもらえるかもしれない。
そんな痛々しい承認欲求が湧かなかったと言えばうそになるだろう。
正直なことを言えば、この人と一緒にZOOMを見たらさぞ楽しいだろうと思った。
しかし一時間延長するとなると、1万円かかる。
1万円…。
貧困層に属する僕にはねん出が困難な額だった。

結果として、泣く泣くキャンセルすることにした。
店舗には電話で連絡し、彼女にはメッセージで詫びを入れた。
すると「全然大丈夫です! わたしもオタクなので、好きなものを優先させてほしいです」との返信があった。
率直に、この子はいい子だなー、と思った。
しかし、前日に予約をキャンセルしたりして、彼女が時間を持て余すことになったりしたらどうしよう…という申し訳なさはやはり拭えない。
今でも申し訳ないことをしたと思っている。
しかし自分の心の中にこびりついている想いを、相手に伝える術はない。
僕の人生はそんなことばかりだ。

というか、ZOOMの開催告知を前日にするラブチキにむかつきました。
どういうことだよ…。
まぁ、その辺の事情へのいら立ちも、書く機会があったら書きます…。クソ…。

代わりに二日後に予約を入れた。
仕事が終わった後、そのままお店に行くことができる。
彼女にそのことをメッセージで伝え、「埋め合わせをしたいのでマカロンを買っていきます 好きな味を教えて」と書いた。
「そんなこと気にしないで良いですよ。何もいらないです」と返信があったが、もう一度押したところ好きな味を教えてくれた。
遠慮の仕方が、こう、いい具合だなと思った。
全然教えてもらえなかったらどうしようかと思ったけど、相手を困らせないために詫びの品も好意として受け入れてくれる感じ。
この人は、人と接する際の姿勢がいつも丁寧で品がある。
言葉遣いが崩れることもなくって、しっかりしているんだろうなと思う。

メンズエステ予約の当日、仕事の休憩時間中にデパートに行って彼女への差し入れを買った。
僕は世界でいちばんうまいマカロンはピエール〇ルメだと確信しているので、そこの物を持って行くことに決めていた
ピエール○ルメではマカロンはそんなに買わないけど、ケーキが死ぬほどおいしいです。
そこの店員さんとは顔見知りになっていて、たまに、賞味期限が近かったり破損したりしている焼き菓子をタダでくれたりなど、かなりよくしてもらっている。

売り場でマカロンを注文しようとして、箱を選ばねばならないことに気付いた。
どこのマカロン屋さんでもそうだけど、マカロンを買うと、通常の箱に入れるか、追加料金を払ってちょっと高級感のある専用BOXに入れるかを選ぶことができる。
後者を選ぶとまぁまぁな追加料金を徴収される。
普通の薄い紙箱なので、人に贈るものとしてはどうなんだろう感がなくはない…。
不思議なもので、こういう「高級オプション」が用意されていると、オプションなしの通常版が「安い」もののように思えてくる。
そういうお店側の戦略なのだろうけど…。

言うまでもないことだろうが、僕はBOX入りを購入することにした。
6個入りのマカロンBOXで、値段は3000円近い。
マカロン1つの単価は324円のようなので、箱代で1000円近くかかっていることになる。
恐るべき価格差に目眩を覚えたが、やはり、僕はかっこつけたかったのだろう……彼女にかっこいいと思ってもらいたかった。
一応贈り物というかたちで持っていくものなので、「安い方を選んだんかい!」と思われる可能性を排除したかった。
低所得層のくせに……自信の身の丈に合わない虚勢の張り方をしてしまうところは、自分の人生における大きな問題だと思う。
僕がBOXに入れて欲しいと申しつけると、マダムはちょっとキョトンとして、「BOX入りにしてしまうと、お高くなってしまいますよ…?」と俺に告げた。
言わせないでくれ…恥ずかしいだろうが…!
「えぇ、それでいいんです」と返すと、マダムはそれ以上詮索するようなことはなく、僕が頼んだマカロンを箱に詰めてくれた。
「なんか田中さん、色気づきやがったんじゃないかしら」と思われてるような気がして恥ずかしかった。
2万5千円払って、オイルを身体に塗りたくられて、チンポコを手首とか腕の内側とかでスリスリされに行くなんて、口が裂けても言えない。
すみませんマダム…俺は汚れてしまっています…。
僕は罪悪感に駆られた。
マカロンは、彼女が好きだと教えてくれた味のものと、僕が一押しにしているローズ味とジャスミン味の6つにした。

また、甘いものとしょっぱめのもの、両方を渡せるのがベストではないかと思い、柿の種も買った。
彼女が柿の種好きだとツイートしていたのを覚えていたのだが、運の良いことに利用したデパートに柿の種屋さんもあったのだ。
柿の種だけを扱うお店なんてそうそうない。
そうなってくると、これは神様がこれを買って行くよう告げているようにしか思えないじゃないですか。
こう、「君の好きな物を覚えといて、何か贈り物をする時に気が利いた感じでアピールするぜ」という感じがまた痛くて気持ち悪いことを告白させてもらう。
でも買っていかないよりはいいかなと思って……。
柿の種はベーシックな醤油味と、ゴルゴンゾーラチーズ味の2種類を買った。

爆発的な夏場だったので自分の体臭が気になり、仕事が終わった後に汗ふきシートみたいなものを使って汗をよくかく場所をふいた。
部屋についたらすぐにシャワーを浴びれるのだが、シャワーに通してもらうまでの間にも体臭は放たれてしまうので、そこで臭さに気付かれることを避けたかったのだ。
とはいえ、会社から彼女のもとへ向かうまでの間にも、僕は大量に発汗してしまうのだが……。

仕事を終えて、いつもとは違う電車に乗って都内の洒落た感じがする名前の駅に向かう電車に乗った。
麻布十番はしゃれた街だったが、人影がまるでなかった。
ちょっと不気味なくらい。
改札を出て地上へ向かう通路でもあんまり人とすれ違わなかった。
みんな在宅ワークに切り替えてて人口が減っているのか?

地上へ出ると、目の前の三車線道路を車がびゅんびゅん飛ばす光景に驚いた。
やたらタクシーが多いような気がした。
港区民は徒歩移動をする文化を持たないのかも知れない。
夜に東京の住宅街を歩くのは、なんだかそわそわするのは、僕が田舎もんだからだろうか。
指定されたマンションには、地上に出てから徒歩3分もかからずにたどり着いた。
予約した時間は7分くらい先だが、近くに時間を潰せるような店などなかった。
マンションの前は立って待っているようなスペースもなく、エントランスにいても迷惑になることが目に見えている。
仕方がないので周囲を散策することにしたが、平面的な形状のマンションが建ち並んでいるだけの通りが続いていた。
不気味なくらい人通りもなかった。
目的を持たずに時間を潰したい人間が存在することは難しそうだな、と思いながら、ただ足を動かして音楽を聴いて時間を潰した。

予約時間を迎えて、マンションのインターホンを鳴らして彼女に解錠してもらう。
マンションのエレベーターはやたら小さく、十人も乗れないだろう。
朝の出勤時間とか、これでは人が乗り切れないのではなかろうかと心配になる。

彼女を見るのは二度目だったが、やはりめちゃめちゃかわいかった。
ぱっと見たシルエットだけでも、身体が細くて肌が白くて髪の毛がつやつやで、顔が小さいことははっきりわかる。
最初から満面の笑みで迎えてくれるところも、やはり良い。
歯並びが綺麗で歯が綺麗。
このご時世、誰もがマスクを付けて生活しているので、人の笑顔を見る機会が激減している。
そんな中で、ずっとにこにこしている綺麗な女性とコミュニケーションを取るということは、だいぶ安心感を与えてくれる気がする。

コロチキのZOOMで僕は顔を出しているのだが、「実際に見るほうがいいですね!」と言ってくれた。
ZOOMではどんな見え方なんだろう、と思ったけど、お世辞である可能性が高いので、「そうなの?」という程度の返しをした。
「田中さん、ZOOMでめっちゃチャットに書き込みしてるし、コロチキにもいじられてたから、私からしたら有名人さんだー、って感じですよ(笑)」と言っていた。
「○○さんは顔出したりしないんですか? 初めて顔出してる人がいると、コロチキが話しかけることが多いですよ」と言うも、「顔出しとかできませんよ、すっぴんだと恥ずかしいし!」とのことだった。
確かに家にいるのに、コロチキのZOOMのためだけに化粧をするのも面倒なのだろうな、とは思った。
ただ、別に顔出しをして身バレすると困るとかってことではないのだなと思った。
「私、話しかけられたら絶対にへらへらしちゃう。へらへらしてる女がいるなー、とか思われたら嫌じゃないですか(笑)」と言っていたけど、「十分可愛いから大丈夫ですよ」と私は返した。
「いや、かわいくないですって」と手を振って彼女は否定したが、ぶっちぎりにかわいい顔をしていることは確かだ。
というか、参加している人の中で一番かわいいと僕は思った。
でも、人と人との容姿を比べて見る人間だと思われたくなかったので、そうは言わなかった。
ZOOMの映像では、彼女のスタイルの良さとか頭の形の綺麗さとかは伝わらないだろう。
肌質の美しさは伝わるかもしれないが、ZOOMには画質調整の機能があるので、彼女が本当に綺麗な肌なのか、ZOOMの機能によって綺麗に加工されているのかは見るものにはわからないだろう。
彼女くらい綺麗な人がそうそういると思えない。
一つの対象に「美しい」と言うことと、「○○よりも美しい」ということは違う意味を持つ。
もちろん前者のつもりで話していても、受け手やその発言を聞いた人間が後者の意味を含めて解釈することはあるだろうが、自分としてはあんまり女性の前で後者の意味を含むことは言わないようにしている。

詳細は省くが、今回は一度目とは違う店舗で予約をしたので、こちらの店でのシステムを説明してもらった。
水着に着替えるコースもあるとのことだが、彼女は水着はNGにしているそうだ。
もともとけっこう身体のラインが出る面積狭めのワンピースを着用しているので、具体的になぜ水着がNGになるのかはわからなかったが、「なんで水着いやなの?」とか聞くわけにいかないので別に触れずにいた。
ただ水着コースはあっても、頼まなかったと思う……エロ目的に偏りすぎるので、申し訳ない気持ちがある。
そう、この時の自分の心境としては、今後同じオンラインサロンに参加している者同士、ZOOMで顔を出したり、なにかイベントの時に顔を合わせる機会があるかもしれないため、過度にやらしい目で見てしまってはいかん……と自制する気持ちも生まれていた。

メンズエステでは、セラピストさんが密着してくれるコースでは追加料金が必要となることが多く、ここも例外ではなかった。
ただ、こう、何も接触がないのは物足りなさを感じてしまうだろうと判断し、そこは追加料金有りコースでお願いした。
過度にやらしい目で見てはいけないと思いつつも、身体的な接触を欲するという、欲望と社会人としての理性の板挟み状態だ。
そういうコースを追加したことを詫びたが、彼女は「ふふふ、いいんですよ」とニコニコしていた。
彼女は何を言ってもいつもニコニコしてくれている。
もちろん彼女は僕とサービス業の一環としてかかわっているので、拒否感があることでも笑顔は浮かべているかもしれないが、彼女のすごいところは、本当に一瞬たりともそれにほころびが生じないところだ。
ずっとにこにこしているし、声色も明るいまま曇らない。
僕はけっこう人の仕草とか話し方の変化に敏感で、「この人は笑顔だけどちょっと怒ってるな」とか「この人はショックを受けているふりをして同情を買おうとしているな」とか感じてしまうほうなのだが、彼女は本当にずっと笑顔で明るい感じが崩れない。
それが彼女の素の状態であるのか、強固な精神で笑顔を崩さないことにしているのかはわからないが、尊敬すべき点だ。
そんな彼女の笑顔やスタンスを母性……というか、包容力として男は受け取るのかもしれない。
でも僕は、お金を払っているとはいえ、女性に「母性」を求めることへの抵抗感がある。
お金が(表面的には)介在しないやりとりにおいてもそう思う。
「母性」を求めるというのは、自分の母親の影を、別の女性に投影することになってしまうんじゃないかと思う。
そこに抵抗がある。
自分が幼少の頃に、母親からの愛に守られ満たされていたと大人になってからも思えているなら、それも一つの正しく誰もが持つ欲求の形として理解はできる。
僕が母性を誰かに求めることに抵抗を覚えるのは、自分の母親と正常な関係を築けなかったことに起因する想いだろうと思う。(父とも兄とも妹とも正常な関係を築くことはできなかったのだが)
あるいは、僕は、母性に守られたことがないと思い込んでいるからこそ、母性に幻想を持っているのかもしれない。
難儀だ。
難儀だが、僕はそういう人間として成立してしまっているのだから、自分でなんとかしなければいけない問題だ。

シャワーを浴びてきて、シートの上で行為が始まる。
前回と同じように、彼女を抱きしめるような姿勢になった。
こうなると、えもいわれぬ幸福感で胸が満たされる。
こんな感覚が日常的にあるのだったら、人生を悲観することなんてないのかもしれないと思う。
抱きしめている時に、相手の顔なんて見えないのに、多分「綺麗な女の人を抱いている」ということがこの幸福感を生んでいるような気はする。
においや笑顔や、頭の形の美しさ、髪の毛の細くてきらめいているさまや、身体の細さ、細いのにやわらかい肌の質感など、彼女の女の人としての魅力が僕をこんな感覚にさせるのだろうか。
何が要因になっているのか、未だにわからない。
遺伝子的な相性とかがあるのだろうか。
謎だ。
僕と彼女の相性が良いというよりは、彼女が高めのメンズエステでたくさん指名を受けるような人であることから、彼女はきっと多くの男性にこのような幸福感を与えているのだと思う。

「この姿勢になるのがちょっと幸せすぎます」と言ったら、「わたし、幸せにしてあげられてますか?(笑)」とにこにこしながら返してくれた。
僕は人生であまり幸せを感じることがないのだが、彼女が腕の中に入ってきてくれると、胸がいっぱいになる。

ここからは話した内容について書くが、話をした順序や情景を覚えていないので、簡素なメモ程度の内容だ。

マッサージが始まった。
「また来てくれたのは嬉しいんですけど、とんでもない世界に引きずり込んじゃったなーって罪悪感があります。ナダルさんに怒られちゃう。ラブチキの会員をマッサージにはまらせちゃったって」
「いや、とんでもない世界ってなんですか」
「だって、高いじゃないですか。私も自分でマッサージ受けに行ったりして、高いなーこれって思ったりしますもん。えーって」
「○○さんもマッサージ行くんですか。一日に何時間もマッサージするのって、やっぱり大変ですよね…」
「大変ではありますけど、私は人と話すのが好きなのでそんなに苦には感じないんですよね」
彼女はにこにこしながら話していた。
女の人の腕で、男の身体をほぐすのは体力的にしんどそうだけど、平気そうな様子だった。
彼女に限らず、エステのお仕事をしてる人ってすごいなーと思う。

腰が反ってるという話になった。
僕も猫背で首が前に出ていて、腰を悪くしがちであるという話をした。
僕はTwitterで流れてきた反り腰・猫背・首の前のめりを治すのによいポーズを伝授した。
その場で、二人で反り腰を治すポーズをとった。
「これを一日一分やるだけで、骨格のラインが改善するんですよ!」
「すごい。効きそうですね! 毎日やります!」と彼女は言った。
あ、普通の話ができてる……と思った。
業務っぽくない会話で盛り上がることができると、「もしかして彼女もこの時間を楽しんでくれているのではないか」と思ってしまう。
多分だけど、これはお金を払って女性とコミュニケーションを取るサービスを受ける男全員が思うことなんだろう。
ああ恥ずかしー……こういう勘違いを起こす人間は、おそらくこういうサービスを求めない方がいいのだと思う。
「自分がお金を払っているから相手はコミュニケーションを取ってくれているのだ」という摂理を踏み越えてしまう。
「ジムとか行ってないんですか?」
「めんどくさがりなので、動くのがいやです(笑)」
ジムに行ったりせずにこんなにスタイルが良くて綺麗な肌を保てるものなのだろうか。
美容についてどう気を付けていればこうなるんだろう。
不思議なものだ。

性欲の話になった。
「なんかマッサージのあとにめちゃくちゃムラムラするかと思ったら、そうはならなかったです。そういうのがあるものだと思って来てたらつらかったと思うんですけど、ないだろうと思って来てたから平気なのかも」
「あー、なるほど。ちゃんと我慢できて偉いですね」
ここから以下の話に移った気がするのだが、どのような話題で接続されているか思い出せない。
「私はそういう相手がいるときの方がそういう気分になるかなー。最近はないですけど」
女性が自分の性欲の話を普通にしてくれてる状況が不思議だった。
自分の性欲の話をオープンにしてくれるということは、もしかして彼女は僕に対する警戒心を解いてくれているのでは? と思ってしまった。
この日何度目かの勘違いの一つである。
だって、女性が男相手に性欲の話とかしたら、エロい話に持ち込まれるのが関の山ではありませんかね……?
それとも、この話題を出すのも、僕がそのように思うよう誘導しているということだったのか?
僕にはもう何もわからない……。

途中で、僕の腕や手を彼女が太ももで挟んでくれた。
なんかこう、他のメンズエステのことを知らないのだけど、彼女は男の手や足を自分の身体に当ててくれる時間を作ってくれる。
その時に触れる彼女の肌と肉質が、信じられないぐらい柔らかくて瑞々しい。
人間の肉ってこんなことになるの? どうなっているんだろうと未だに思う……。
私は女性の肌に噛み付くのが好きなので、「めっちゃ柔らかい。どうなってるんですか。噛みたい……」と彼女に言いました。
彼女は「噛んでいいですよなんて言えないじゃないですか」と返す。
それはもちろんその通りである。
もしも「噛んでもいいですよ」と言われたとしても、人前に晒す場所に跡を残すことなどできない。
しかしそういった理性的な判断ができたとしても、「噛みたい」という欲求が生まれてくることを制御することは容易ではない。
「噛ませてもらえなくていいんですけど、噛みたいという欲求を抱いていることを聞いてもらえるだけで十分なんです」
「たしかに。口に出すだけで違いますもんね。でもそんなこと初めて言われました」
「うそ。みんな噛みたくならないのかな」
「噛まれたこともないですし。噛まれバージンです」
「噛まバーですか?」
「そう。首絞められたことならありますけど」
「あー、あるって言いますよね。首絞めフェチ。ドSな人だったんですか?」
「その時の彼氏ですけど、手錠付けられたりはしましたね」
「グッズも持ってる人ですか……」
「そういえばこの前、その人から電話がかかってきたんですよ。車でラジオ聴いてたら大森靖子の曲が流れてきて、お前のこと思い出したとか言って」
「へー。思い出の曲とかなんですか?」
「一緒に聴いてたとかではないんですけどね。それ聴いて私のこと思い出す? と思いました」
「ははは。大森靖子いいですよね」
「ですよね!? すごくしっかりしてるし。アイドルに曲提供したりもしてるし」
「わかります。最初の頃の曲とかけっこう聴きましたよ」
○○さんもハロプロやらアイドルの曲とかが好きなようであった。
ZOCの活動内容とかコンセプトとかはどうなのだろうと思っていたが、別にそのことは話題には挙げなかった。

首を絞める行為に興味を持ったことはないけど、この人は首を絞められている時にどんな顔をして、どんな声を出すんだろうとは思った。
そしてなにを思うんだろう。
世の中にはいろいろな性癖があるが、パートナーが好む行為を自分は好きになれない場合、どのようにして付き合っていくべきなんだろう。
「それって、○○さんはどういう心境で受けるんですか?」
とか聞けばよかったのだろうか。
でもその話をそんなに深く掘り下げても、相手は良い想いをしないように思う。
ただ、自分が人と話すときに習慣として、話者に「○○さんはどう思うんですか?」と尋ねることが多い。
心境や感想を聞いていけば話者自身のことをよりよく知ることができると考えているから。

これは女性を物格化するような思想なので、口に出したり書いたりすることははばかられるものだが、こんなに綺麗な女の人とそういう行為をしていて、なお深い欲望を抱く心理ってどんなんなんだろう。
僕はこの人を抱きしめるだけで幸せになってしまうし、触れられるだけで強い快感を覚えてしまうわけなので、通常のセックスをするだけでも満足感が凄まじそうだと思われる。
しかしそれに飽き足らず、わりとハードめなことをしたくなる欲求の強さってすごいなと思う。
そういった深い欲望を抱いているからこそ、パートナーとなるようにアプローチをかける強い動機になるのだろうか。(それはないか)
ただ、僕はアブノーマルなセックスにあまり関心が向かないほうだと思うので、普通の人は大なり小なりアブノーマルな指向を持っているのかもしれない。
セックスは好きだけど、普通にセックスするだけでけっこう満足してしまうというか。
でも、僕は一人の女性と長く交際することが少なかったので、アブノーマルなセックスを追求していくほどの関係に発展しなかったというだけのことかもしれない。

「すごい。肌が信じられないぐらい綺麗です」
「そんなことないですけどねぇ。特別なこととか何もしてないですし」
「特別なことしてなくってこんなに肌が綺麗とか、わけがわからない……」
「うーん、でも、お尻は自信あります」
そう言って自分のお尻を手で押さえた。
お尻がクッと上がっている。
鍛えて筋肉で持ち上げている感じではなく、自然に上がってる感じ。
鍛えてるわけでもないのに、そんなに上がってるお尻に仕上がるということがにわかには信じがたい。
しかも柔らかい。
どうなっているだ。
「この前来たお客さんに、お尻に線とか跡が付いてないから、座らないんですか? って言われました。ちゃんと座りますよーって(笑)」

彼女は全体的に、めちゃくちゃスタイルがいい。
僕がTwitterのアカウントで、彼女写真付きツイートをふぁぼしまくっているので、それがフォロワーの方たちにもモロバレしていたとのことだった。
「田中さん、メンズエステのお姉さんのツイートふぁぼしまくってますよね」と相次いで連絡が来た。
恥ずかしいが事実ではあるのでそのことを認めると、みな一様に「脚、めちゃ綺麗ですよね」「綺麗な人ですよね」と彼女のことを褒めてくれた。
そんなことがあり僕は「女性フォロワーにもめちゃくちゃばれてたけど、みんなが「めっちゃ美人」「脚めっちゃ綺麗」と褒めまくってる。推しが女性から支持されていると嬉しい」とツイートしたところ、彼女がメンズエステのアカウントでからんでくれた。
そんなことあるんか!? と僕は狂喜した。
そしてそのツイートから何度かリプライが続いた。
そう、もちろんこれらも「もしかして俺、この人と仲良くなれてるんちゃうか?」感を抱かせる一因だ。

音楽の話が続いた。
「最近の曲って男がだらしないのが多くてイラッとするんですよ。バックナンバーとかほんと嫌いで…フジモンみたい顔のやつがなに歌ってるのとか思う(笑)。ちょっと前にテレビでよく流れてた曲…アラジンって名前だったかな…『お金も地位もないけど君を守る』みたいなこと歌うんですけど、ちょっとは頑張れよって思っちゃう(笑)」
お金も地位もない私の胸にはややグサッと刺さった。
お金も地位もないのに高級なエステに来ているときたら、私は一体何なんだろう。

どうでもいい会話なのに、どれも忘れがたい。
カールじいさんと空飛ぶ家というピクサーのアニメーション映画で、「僕の話、つまらないよね。でもどうでもいいことばっかり覚えてるんだ」って台詞があるのだけど、それです。

兄弟の話になった。
「妹とはすごく仲良いんですけど、顔は全然似てないんです。少し年が離れた弟とはすごく似てて。本当に私そのまんまなんですよ」
僕は兄と妹がいるが、どちらとも疎遠だ。
詳しく書く必要はないと思うが、兄とは一生会わずにいたいし、可能であれば戸籍上も他人にさせてほしい。
普通の人は自然と兄弟や家族のことを話題に出す。
僕は家族のことは何一つとして、新しく知り合う人に話したくない。
「普通」に知り合った人とはなおさら。
自分と「近い」と思える人や、近い事情を抱えているのだろうという人には話すことに抵抗はない。
自分の「普通じゃなさ」を人に話したくないが、「普通」である様にとりつくろったり隠したり虚飾することもしたくない。
自分は難儀な人間だと思う。

その部屋は床の上に鏡が置かれていた。
姿見を横置きにしたような格好になっていて、自分がうつ伏せになって施術を受けている際も、鏡越しに彼女の姿を見ることができた。
うつ伏せになっている間は彼女のことをまじまじ眺めていた。
彼女も鏡越しにこちらに視線を向けることがあって、そのうちに彼女が「なんだか目が合いますね」と言った。
僕は「合うよ、それは(笑)」と返した。
今考えてみるともっと優しい言葉とか言い方を選んだ方がよかったなと思う。
多分その時は、まじまじ眺めていることがばれてしまって恥ずかしかったのだと思う。
綺麗だからずっと見ていたかった、と言えばよかったのだろうか。
美しいものはずっと見ていたくなる。
美しい人のこともまじまじ眺めたい。
けれど対象が人間である場合、長く見つめることははばかられる。
相手が嫌がるから。
でもここでは、多分、いくら相手のことを眺めていても咎められることはない。多分。
僕は自分が綺麗だと思うものにたいして、「なぜそれが綺麗なのか」ということも考えたい。
自分が感情を抱いたとき、なぜそんな感情を抱いたのかを考えたい。
人の髪や肌や爪を綺麗だと思うとき、その判断基準は多くの人と共有できると思う。
それはおそらく、それらの美醜は生きものとしての健康状態を表すものであるはずだから。
肌が綺麗な人が異性から好意をもたれるのは、「寄生虫を持っていないか」といった健康状態を測るバロメーターでもあるからだそうだ。
優れた健康状態を保った異性と繁殖したいという本能としての判断がそこに働く。
けど、「顔の美醜」については、人によって判断の基準が大きく異なっている。
自分がなぜその人のことを綺麗だと思うのか、自分で見定められたらと思うが、こうして顔をまじまじ見ても許されるような関係性ってなかなかない。

なにかの話の流れで、彼女が「わたしおっぱい大きくないからなぁ」と言った。
僕は「いや、お店のホームページにもめっちゃ大きい人が載ってましたけど、絶対大変じゃないですか。疲れると思う」と返した、
「それはそうですよ。大きいのって重たいですよ」と彼女が返して、おっぱいの話は終わった。
僕はその時、「ちゃんとおっぱい見たことないですけど、あなたぐらいがちょうどいいと思います」と思っていた。
それは言うべきことではなかったかもしれないが、それが本心だった。
多分彼女はCからDぐらいのカップっぽい感じでした。
男が女性に求める理想のおっぱいサイズってそのぐらいではないかと思う……平均的に言えば。
僕はというと、AVを見るときは巨乳が好きなのですが、実際に女性に巨乳を求めるかというとそうでもない。
それは大いなる乳サイズには代償が伴うということを、自分の加齢と共に気付かされるから……。
そう、垂れるではありませんか。
大きくなければ垂れません。それは自然の理。
そんなわけで形の綺麗さのほうが大切だと思います。
そんなことを彼女に力説しても仕方がないとは思う。
けどそれを伝えたい気持ちもあった。
彼女が極柔の肌質の持ち主であることを考えると、おっぱいもめちゃくちゃ柔らかいのではなかろうか。
おっぱいの剛柔に関しては好みが分かれるところだと思うが、僕はやわらかいおっぱいが好きです。

マッサージが終盤に差し掛かったころ、正座した彼女の腿の上に、僕が背を向ける形で座る格好になった。
その姿勢のまま、彼女が手にオイルを落として、僕の胸と股間のあたりを行き来させる。
乳首と、男性器の付近を刺激するわけだが、とにかくこれが、おっそろしいぐらい気持ちよかった。
前述したように、部屋の床には鏡が置かれている。
行為が行われるシートの前と横に置かれているので、正面を見ると、彼女の手でまさぐられる自分の身体が見えた。
不幸中の幸いというべきか、自分の顔までは見えない
あー、ラブホテルの天井が鏡張りになっているところがあるが、こういうことのためにあるのかもしれないなと思った。
自分が卑猥な行為をしていて、卑猥な行為をしている最中の自分は、身体の感覚にあらがうことができない動物でしかないということを見せつけられる。
ディズニーランドには「自分の姿を見て現実に戻らないために」鏡が置かれていないというが、その逆で、現実の自分を見せるために鏡が置かれる場所がある。
しかしそれでも直視には耐えがたい。
オイルでぬめった自分の身体を見ていたいという男はあまりいないのではないだろうか。
顔を背けて横を向くと、鏡越しに彼女と目が合った。
微笑みを湛えている。
「めちゃくちゃ気持ちいいです」と言うと、「ふふふ。気持ちよくなることしてるんですよ」と耳元でささやかれた。
圧倒的な自信に裏打ちされている。
性にかんして「テクニシャン」と呼ばれる女性がいるが、自分は高い技術力を持つ女性とこういうことをしたことがこれまでなかった。
そして、「別にテクニックとかかなくても、普通にしてるだけで気持ちいいじゃん……」と思っていた。
普通のセックスで十分気持ちいいし、精神的にも満足できている、と。
しかし、手と声(あとは接触している肌の質もだろう)だけでこんなに気持ちよくさせられてしまうなんて思ってもみなかった。
女性と身体的に接触するタイプのサービスについて、「そんなに高いお金払ってまでも行きたいものなんかね」と思っていたが、身体的経験の価値を軽んじていたことを詫びなければいけない。
気持ちよすぎます。
もちろん、この気持ちよさを日常生活にまで求めてしまうと、それなりのリスクもあると思うが……。

ここで僕の乳首開発の歴史を振り返りたい。
19ぐらいの時に、付き合わないけどフェラまではしてくれた女の人がいた。
そういうことになった際に、乳首を手でいじられたのだが、何も感じなかった。
「僕、乳首は感じないと思います」と言ったら、彼女は諦めて通常のフェラチオに移行してくれた。
僕は内心、「なんで乳首いじってくるんだ……頭がおかしいのか?」と彼女を蔑む気持ちだった。
僕は乳首性感を馬鹿にすらしていたと思う
「男が乳首で感じるなんて都市伝説だろ」と…。

その後、20歳くらいの時に初めて付き合った女の子とくっついてお互いの身体に触れあっていたところ、彼女が、「耳舐めてもいいですか?」と言うので、「耳舐めてもらっても多分感触ないと思うけど……」と、仕方なく彼女が耳を舐めやすい体勢になった。
「なんやねん、男の耳舐めたがろうとすなよ」と思いながら接触を待っていたのだが、彼女の口内に耳が取り込まれた瞬間に衝撃が走った。
めちゃめちゃ気持ちよかったのである。
耳全体から、その付近一帯に電気が流れるような刺激を覚える。
くすぐったさとも違う、射精が近づいてきた時に下腹部を走るあの淡い痺れのような感覚が、耳のまわりをかき回していく。
彼女の口は暖かかった。
温かい粘膜に、皮膚の敏感な部分を刺激されるということがどれだけの快楽を生むのか、僕は知らなかった。
彼女は耳を一通りしゃぶると口から解放して、舌と唇を使って舐めたり噛んだりと、全体からピンポイントへの刺激に移行した。
そうなると、唾液で濡れた耳を吐息が撫でていくさまもたまらなかった。
僕が初めての刺激に身をよじっていたら「逃げちゃだめですよ」と、ちょっと力を入れた腕で押さえ込まれた。
たまらんでした。
その後乳首を舐められたところ、これがまた電撃的に強力な快楽に襲われたのだった
自分の喉からこんな声が出ることがあるの? と思うような、なんとも情けなくだらしのない声を発していた。
彼女が、ピンク色をした小さな舌でゆっくりと舐めていく姿が、どこか非日常的な感じで、そこもまたエロかった。
女の子ってみんなこんなエロい行為を働くんですか……神よ……。

そんな彼女に振られて以降、乳首性感は右肩下がりを続けた。
彼女から与えられたものと同じ快感を再現したいのに、誰に乳首を舐めてもらってもあんまり気持ちよくないのである。
ただ舐めてもらった手前無反応なのも申し訳ないので、「あー……」と、ちょっと喘いだりはしていました。
セックスの最中に「気持ちよさそうな演技」をするのは女性だけではありませんよね…。
男も女もセックス中に「気持ちよさそうな演技」をしなければいけないなんて、おかしな社会になったものです……。
それなのに、女性が前戯の時に耳と乳首を舐めないでチンポコいじりに移行すると「いや、上半身もっと責めてもらえませんか!?」と心の中でめちゃくちゃイラだった。
時には「こっちもちょっとお願いしていいっすか?」と懇願することすらあった。
それでも、いざしてもらったら全然何も感じない。
私はわがままだ。
しかしどうしても、初めてのあの時に覚えた快感を、また味わいたかった。

結局今に至るまで、あの時の快感は再現されない。
なぜ彼女の乳首刺激があれほど気持ちよかったのかはわからない。
初めてされる行為であったために、僕の脳の処理が過剰であっただけなのかもしれない。
性的な快楽は自信の興奮度や思い込み(プラシーボ)の作用によるものが大きいと思う。
今となっては確かめようもないことなんだけど。
ただ、「暖かさ」って大事なんだろうなとは思う……口とか手が冷たいと、されてもそんなに気持ちよさが生まれないことが多い。

ただ、AVを見るときに乳首舐めのシーンはじっくり見てしまう習慣はついている。
乳首の舐め方って本当に千差万別……乳首の舐め方には人となりが現れます。

話が脱線しました。
本題には「舐め方」は関係ありませんね……。

とにかく、にわかには信じがたいほどの快感なのです。
オイルを塗布されているとはいえ、指で刺激されるだけでこんなに気持ち良くなりますか…?
三十代半ばで、自分の乳首がこんな感覚を得ようとは思いも寄りませんでした。
ほんとに気持ちよかったです……。
後ろからされるっていうのが要因として大きいのだろうか…自分も今度セックスするときは、もっと後ろからしようと思いました。
なんかこう、自分が知らないだけで、自分の身体はいろんな感覚の機能が備わっているのだなと思わされました。
気持ち良かった…。
こんな感覚は長らく感じたことがない。

とはいえ性的快楽を追求するのだってただではない。
この行為が2万5千円のうち、いくら分に相当するものかはわからないが、おそらく2万5千円以下のコースでは提供されないものだろう。
しかしこの快楽は凄まじいものがある……恐ろしい……。

初めて付き合った女の子に抱きしめられた時のことを思い出す。
僕が解決しようがない家族の問題を抱えており、それが彼女にも飛び火しかけたことがあった。
僕の父親は非常に暴力的な人間で、身体的な暴力、精神的な暴力や暴言を日常的に発する人間だった。
怒声もすごかった。
僕が女の子と付き合うようになるころにはやや落ち着いていたが、その時は、家の中で怒鳴り声を上げていて、僕の部屋にいたその子にも聞かれてしまったのだった。
怯えや恐ろしさもあったが、それ以上に、その子に自分の父の非倫理的な姿を見られてしまったことが嫌だった。
僕がベッドに腰掛けてうなだれていると、彼女が後ろから抱きしめてくれたことがあった。
考えてみると、女の人から「抱きしめられる」ことってないなと思った。
まして後ろからとなると、それが最初で最後のことのような気がする。
自分の恋愛経験がひどく乏しいものだと実感させられる。
抱擁っていいものですね。

安心感と、強烈な性的快楽が同時に襲ってくる。
すごい技である。
どこでこんなことを覚えたんだ…

この二度目のメンズエステが八月の頭のこと。
九月にコロコロチキチキペッパーズの単独ライブが行われることがアナウンスされていた。
僕はすでに友人を誘って、チケットを2枚購入していた。
「ライブ、私も行こうと思ってるんですけど、もし会ったら挨拶とかしてくれます?(笑)」
ときた。
「もちろんです。会えたらぜひ。ライブの前後とか、ラブチキの会員さんと集まったりするかもですけど……」
「田中さん、ラブチキの女の子と仲良くなってますよねー」
「一応交流させてもらってます……男性会員が全然いませんからね」
この時は正直、確率的にはごぶごぶくらいだと思った。
また、もし来たとしても、会場でちょっと挨拶を交わすぐらいかなー程度に考えていた。
今考えると、この時はまだ、そこまで強く入れ込んでいるわけではなかったと思う。

マッサージを終えて、シャワーを浴びに行った。
マッサージを受ける部屋の窓はカーテンを閉め切っていたが、シャワールームの窓は開いていた。
遠くにのほうに煌々と光を放つ繁華街が見えて、なんか東京の夜景って感じでテンションが上がった。
シャワーから出ると、彼女はスマホを手に持って、少し操作していた。
人と一緒にいるときに相手がスマートフォンを操作していると、少し寂しい気分になる。
(もちろん一緒にいる時間が長い場合などは、そういう時間が訪れることもあるだろう)
と思っていたら、「これ」と、旅行に行った時の写真を見せてくれた。
妹さんの写真も見せてくれた。
確かにそんなに似ていなかった。
言わずもがな、「家族の写真見せてくれるとか、俺にめっちゃ心許してるってこと……・?」という勘違いをしたことは言うまでもない。
ただ、今冷静に考えてみたら、僕が「客とサービス提供者の壁」は高くそびえ立っているものだと勝手に思い込んでいたけど、本当はそうではなく、このぐらいの距離感が通常なのかもしれないと思った。
自惚れきっている低所得独身男性……哀れだ。

お店を出てから数十分後、彼女からメッセージがきた。
マカロンを早速一つ食べたけど美味しかった、とのことだった。
すぐにメッセージがきたことでちょっと勘違いしそうになったが、ここは「次のお客さんが来るまでの間でメッセージを書いておくようにしておるのだろう」と結論した。

今日のお礼とか、話してて楽しかったことを返信した。
で、いつもちゃんと出勤してて偉いです、返信は特に要らないよ、と書き添えた。

翌日、彼女から「返信いらないって書いてましたけど、田中さんがお仕事してて偉いって書いてくれたから今日も出勤できました(笑)」と返ってきた。

昼間にお仕事をしていて、夜もまぁまぁなペースでメンズエステのお仕事をしていて、休まるのかなと思った。
昼の仕事だけでもけっこう疲弊する僕には信じられない。

後日、彼女が、僕が持って行ったお土産を写真付きでツイートしていた。
普段彼女がしている差し入れ写真ツイートよりも、いいねが多少多くついていた。
勝ったな、と思った。
ありがとうピエールエルメさん。。。
そしてもちろんこれも、僕が勘違いを起こす一助となった。
恥ずかしい。
こうして振り返って書いてみて、僕はどれだけ勘違いを起こすのだろうと思った。

性欲が近頃衰えてきているのだが、それでもなお、女性に対する勘違いが後を絶たないことを考えると、僕が女性に求めているものは性的な関係ではなくて、承認欲求を満たし合える関係なのだろうと思う。

次に彼女に会うのは九月のこと。
コロコロチキチキペッパーズの単独ライブ会場で会う。

Friday I’m In Love「私もついてっていいですか?」

 - コミュニケーション, メンズエステ,

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