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映画音楽本ごはんの話を、面白く書けるようにがんばります

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美術への苦手意識 221001

   

昔は美術が苦手だった。
絵心がなく、また手先が不器用なので、学校の美術の授業がとにかく嫌だった。
また、思春期に入って芸術に興味を持ちだしてからも、美術作品を鑑賞しても何も感じたり思えたりしない自分が愚鈍に思えたし、美術の歴史を辿ろうと思ったらキリがない気がしたので、距離を置きながら生きてきた。

今にして考えてみれば、絵を描いたり美術を制作する授業時など、好きに手を動かせば良かったのだろうけど、学校の先生とか周りの人間とか親とかからプレッシャーを掛けられたせいで苦手意識が生まれた可能性はあるかもな、と思う。
中学になれば、成績が高校受験にも影響すると親教師同級生が度々口にするので、「悪い成績を取ってはいけない」と意識せざるを得ないし。

体育もそうで、人より身体能力の低い自分は、低い順位を付けられることが本当に嫌だった。これについては母親が、高い順位に行くようにというプレッシャーをものすごくかけていたことも一因だったと思う。
海外の教師が日本の体育を視察して、「健康のために運動の習慣の大切さを知ることが大事なのに、順位を決めたり強制したりしているようでは、子どもが運動への苦手意識を抱く」と話しているTV番組のキャプチャ画像を見かけたことがあるが、頷きすぎて首がちぎれんばかりの思いである。

だが何年か前から、美術館で行われる催しにちょっとずつ足を運ぶようになった。
映画鑑賞が好きなのだが、映画でも当然画面作りやカメラワーク、色使い、照明、舞台の作成など、美術が影響を与える要素がたくさんある。
映画を観たり学んだりしているうちに、映画を通して「美術」に対しての関心が高まっていったのだと思う。

何年か前に、ミュシャ展を観に行った。
これはたしか、自分が敬愛する作家の大塚英志さんが、ミュシャが日本のオタクカルチャーに与えた影響の大きさについて書いた文章を読んだため、ミュシャへの興味を持っていたのだと思う。
展示会には美術を学んでいた人妻と一緒に行ったので、いろいろと解説してもらえたのが良かった。
僕は図録を買った。
「これ全部読み切れるかなぁ」と言った僕に、その人は「全部読むのって無理だと思う。気になるところがあったら読むとか、思い出したときにめくるとか、図録の使い方ってそんなだよ」とのことだった。
僕は衝撃を受けた。
僕は「体系的に学ばねば」と強迫観念を持っているのだなと気づかされた。
そして、そんな僕以外の人は、もっと気軽に美術に触れているのだなとも思った。

自分は、文学に対しても同じようなことを思っていて、「古典文学を読まねばならない」と強く思い込んでいた。
中学生の頃に、貴志祐介さんの『青の炎』と、大槻ケンヂさんの『グミチョコレートパイン』を読んで、文学じゃなくても小説を読むのは楽しい経験なのだと気づけた気がする。
青の炎は当時映画化されたので知る機会があったけど、グミチョコはなんで読んだんだろう……何かの雑誌で紹介されていたんだったかな……。
漫画喫茶で漫画版を読んだのが先だった気がするけど、漫画版にしても、なぜ手を出したのか記憶にない……。
大槻ケンヂさんについては、小学生の頃に遭遇してややトラウマがあるので、大槻ケンヂさんのことは避けたいと思うはずだが……謎……。

二十代後半ぐらいから行くようになった美術館とか美術関連の展示会など、行ってみると、だいたい楽しい気持ちになることができた。
また、「高尚な芸術に触れることができて自分がちょっとグレードアップしたような気分にもなれる。いいことばかりである。

ただ、せっかく美術館を巡ったり、図録を買ったりしても、記憶力がおそろしく低下していて、美術館を出る頃には観た作品や解説はほとんど忘却の彼方にある。
頭に入らないのが前提、何か記憶に刻まれるようであれば御の字だ、くらいのスタンスで生きていくしかないんだろうな。
身体の調子についても言えることだけれど、10代から20代の人間が性能高すぎるだけであって、30代に入ると節々に不調が出てくることが当然であって、お金や時間を費やしてメンテナンスをしていかないとダメになっていくに決まってると考えるしかない。
本当に恐ろしいことに、最近は、文章を読んでいても、右から左に抜けていって、一切内容を理解できないことがある。これはどうしたらいいんだ……集中力を上げなければいけないのか……。

ただ、体系的に知識を得なければ見えてこないものがある。
自分が敬愛している作家って、脳みそが人間何個分あるんだろうと思うぐらいの知識を有していたりする。そしてそんな状態からしか見いだせないものがあると思う。自分はそういう人が作ったものに心打たれて生きてきたと感じる。
現代、それが軽んじられているように思う。
体系的な知識を得るための手段として、一つ一つを着実に記憶するのではなく、乱読して、記憶に定着するものと巡り会うための確立の母数を増やすしかないのであろうと思う。
あとは、反復して脳にインプットして、記憶から抜け落ちていく確率を減らすしかないか……。

美術というと、幼稚園の頃に、動物園をテーマにして絵を描いたことがあった。
僕は青と赤の色で、8本足のあるライオンを描いた。
幼稚園には、美大出身の漫画家さんの娘が通っていて、その縁でみんなが描いた絵を寸評してくれた。
漫画家さんは僕の絵の前で立ち止まって、少し眺めていたように見えた。
僕は、変な絵を描いているとなじられるかと思った。
その後先生が僕のところにやってきて、漫画家さんが僕の絵を独創的だと話していたと言っていた。
僕は「独創的」みたいな言葉が褒められていると受け取れず、「僕が見たライオンは8本足だったはずだ」と弁明したように記憶している。
今考えると褒められたのかもなとも思う。
この頃から多分、僕は、「変」であることをしてはいけないと叱られながら生きてきたんだろうなと思う。
「変」って言葉、妹も姪っ子に対して使ってて、受け継がれてる……って思ってしまった。
嗚呼。

でもまぁ僕もやっぱり変だな。
でも変だとて、そこまで変扱いすることもなくないかと思う。

・今日聴いた曲
今日聴いた曲ではないけど、連想した無いようなので。。。
今日聴いた曲ではなくて、連想した曲のことを書けばいいような気がしてきた。
ルーファス・ウェインライトの、アルバム中の小品的なピアノ曲。
子どもの頃に美術館巡りを引率してくれた先生のことを思い出す曲。
「一番気に入ったものは?」私は、あなたですと言いたかった。
そんな彼女は大人になり、エロい下着を着せられて、醜い男のSM趣味に付き合わされるようになっている、という歌だった気がする。記憶違いかも知れないけど。
なんか心が苦しくなるわ。変な歌。

 - 文化, 日記

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