夏川椎菜ソロを考察するフレームとしてMIKAを紹介します
2020/08/06
アイドル声優グループの夏川椎名さんのソロ作品について考察しています!
夏川椎菜さんの楽曲考察からは脱線してしまうのですけど、夏川さんの曲を考察する上で参考資料にできそうなものがあるので、それでエントリを三つ書きます。
・夏川さんが一押しアーティストとして挙げたミーカ
夏川さんが先日ブログで、最近聴いている音楽を紹介されていたんです。
その中に私が10年以上聴き続けている「ミーカ」というミュージシャンの名前が挙がっており、戦慄が走ったのです。
あとは、気になってたアーティストとかのMVを片っ端から観るなどしているよ
オススメはMIKAだよ
どれも好きだけどWe Are Golden
Kikc Ass
Celebrateあたりはすごく良いよ
なんかめっちゃ元気になれる曲ばっかだよ
とのことだったのです。(曲のPVのリンクは私が張りました)
そんなわけでここから、ミーカのことを知らない方に向けて、彼がどんなアーティストなのかを簡単に紹介します!
・引き裂かれたポップアーティスト「MIKA」
ミーカはレバノン出身でフランス育ちました。
その後イギリスに居を移してソングライターとして活動を開始し、2006年に自身の名義でデビューを果たしました。
現在までに5枚のオリジナルアルバムを発表しています。
彼は欧州では絶大な人気を誇り、イタリアでは音楽番組のパーソナリティを務めたり、フランスで彼とコラボした車も発売されていたほどの国民的ミュージシャンです。
夏川さんが挙げている『キック・アス』は、日本でもカルト的な人気を持つ同名映画のテーマ曲としてリリースされました。
版権の関係なのか、配信サイトにはアップされていません……名曲なのに……。
ちなみにライヴで披露されることもほとんどありません。
海外では披露した記録があるようですが、来日時にはやったことがないはず……。
映画に提供された曲だと、こういうことがちょくちょく起こりますね……。
夏川さんが挙げた『セレブレイト』と『ウィー・アー・ゴールデン』ですが、私はアコースティックバージョンの方が好きです。
そう、ミーカは豪華絢爛なアレンジを施したシングルをアルバムからのリードトラックとしてリリースすることが多かったのですが、アルバムにはボーナストラックとしてアコースティック版を収録していたのです。(「リードトラック」とは、シングルリリースを蓄積してアルバムにまとめるのではなく、アルバムを製作して発売のめどが立った頃に主に宣伝を目的としてリリースされるシングル曲のことです)
・ミーカと日本
ミーカと日本にはまぁまぁの縁があります。
もともと日本のアニメなどのコンテンツが大好きだったミーカは、2ndアルバムリリース時のツアーでは、年末年始のライブ休みに入る前に東京で一夜限りの来日公演を慣行しました。
その後、ツアーの一環で通常の来日公演も行われており、彼の日本びいきっぷりがうかがえるでしょう。
そしてその特別な東京公演では、なんと宇多田ヒカルさんがシークレットゲストとして登場しました。
ミーカが「特別なゲストがいるよ。宇多田ヒカルさん」と宇多田さんを呼び込んだ時も、観客はみんな「え?」というリアクションで、その事実を飲み込めていませんでした。
映像があると思わなかったです!!
調べてみるもんですね!
宇多田さん「みんな私のこと知らないかも」というジョークをかましてましたね……知らん人おらんやろ。
宇多田さんとミーカがどこで繋がったかはわかりませんが、この来日時だったか忘れましたが、宇多田さんとは秋葉原観光に行ったこともあるようです。
今は宇多田さんもロンドン在住のようなので、今でも親交があるかもしれませんね。
そう、この時のミーカは日本語の勉強をしていたらしく、この公演では日本語でたくさん喋ってくれたんですよ。
それ以降の来日では日本語トークはほとんど聞けなくなってしまったので、日本語学習はやめちゃったっぽいですね……。
あと、曲のイントロを途中で止めて、「僕おならしちゃった(笑)」とか言ったりもしていました……面白い人です(笑)。
この公演で語られたエピソードとして、「MIKA」と書いて「ミーカ」と発音するアーティストネームに決めた理由は、イギリスの音楽院に通っている頃に、日本からの留学生の「みか」さんという知人ががいて、そこからもらってきたのだというものがありました。
その後、2年か3年前に椎名林檎さんのトリビュートアルバムが発売された際も、『シドと白昼夢』をフランス語でカバーして参加していましたね。
ミーカはもともと椎名林檎さんのファンだったようなのですが、宇多田さんと椎名さんの仲が良いからその縁で繋がったのではないかな……と推測しています。
・ミーカのアイデンティティと夏川さんの共通項
私、ミーカはデビュー当初からずっと聴き続けていて、これまで来日公演には三回観覧に行っています。
ひねくれもんの私が大好きになるくらいなので、ミーカもだいぶ変わったところのある人なのですが、そんな彼と、アーティスト夏川椎菜さんには共通項がいくつかあるように思ったんですよ。
夏川さんは「元気になれる曲ばっか」とミーカを評しますが、ミーカの曲が「ちょっと変わったところ」から出てきているからこそ夏川さんも彼に惹かれているのでは? とも思ったんです。
このミーカという人、すごくつらい幼少期を過ごしているんですよ。
非常に切迫した政治状況によって生まれ育ったレバノンを追い出されて、逃げ延びてきたフランスでは過酷ないじめ・差別を受けて、音楽を作るようになってからも波瀾万丈で……。
で、彼は同性愛者でありクリスチャンでもあるんです。
そんなふうに、様々な場面でアイデンティティを引き裂かれながら生きてきた人でもある。
けれど彼が生み出す音楽は祝祭的な響きを帯びていて、全ての生命を祝福するかのようなポジティヴなエモーションが宿っている。
「悲しい気持ちをあえて明るい曲に乗せる」というスタンスは、夏川さんにも共通しているところだと思います。
たとえば、彼のデビュー曲である『グレース・ケリー(Grace Kelly)』は、他のアーティストに楽曲を提供するソングライターとして活動していた頃に、レコード会社から曲をメッタメタにこき下ろされてアイデンティティをへし折られそうになっていた経験から生まれたものだそう。
映画『ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)』でも描かれたように、フレディ・マーキュリーもそんな風にアイデンティティを引き裂かれながら音楽家を志しましたね。
ハイトーンボイス、ファルセットボイスを駆使するところや、ビートルズ以前の大衆音楽をベースに楽曲を作っているところなども共通していますね。
昔、知り合いにミーカを勧めたら、「お母さんと一緒に聴いてたらこの人フレディみたいって言ってた」という感想だったことを思い出します……。
そんなミーカに迫ったインタビューが掲載された雑誌が手元にあったので、文字起こししました!
それがこの後に続く三つのエントリの内容です。
私がずっと購読していたスヌーザー(SNOOZER)誌では、ミーカがデビューしたばかりの頃から紹介されていたのです。
1stが日本でリリースされる前と後とで一回ずつ、2ndが完成時に一回、計三回のインタビューが慣行されました。
3rdアルバムのリリース前にスヌーザーは廃刊になってしまったので、そのインタビューはありません……三枚目のアルバムが一番好きなので、惜しい限り……。
インタビューははっきり言って、だいぶ長いです!
しかし、ポップミュージシャンが、ポップミュージックを作ることを志す過程を丹念に聴きだしている興味深い内容なので、これを読んでみるだけでだいぶ音楽の聴き方が変わる貴重な記事になっています。
そこから、夏川さんがどんな風に自分の思いを楽曲に投影してきたかを考察できるかなぁと思います。たぶん。
まぁ、私はミーカ信者なので、夏川さんを通してミーカの音楽に触れてくれる人が一人でも増えてくれたら嬉しい……という目論見があるのは事実です!
果たしてこのページを読んでくれる夏川椎菜オタク人民がどれくらいいるかはわかりませんが、ぜひミーカを聴いてみてほしいずら。
彼は日本のアニメの大ファンで、特に菅野よう子氏へは最上級の敬愛の念を示しているくらいなので、日本のアニメファンはミーカの音楽との親和性は高いと思うんですよね。
カウボーイ・ビバップ(COWBOY BEBOP)のサントラがめちゃくちゃ好きなんだとか……。
良い作品ですよねぇ……。
また、ミーカの名前でググってこのページにたどり着く人も入るかもしれません。
ミーカのことが大好きで、夏川椎菜さんのことを知らないという方……ぜひ夏川さんの作品にも一度触れてみてほしいです。
ちょっと長くなったので、ミーカの楽曲の特徴についてはもう一つエントリを用意し、そちらに書くことにします。
そこでミーカの曲が、如何に「明るいだけ」ではないかを説明します。
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