『東京物語』と「思い出し「エッチしたかった」」 220906
『東京物語』を観た。
15年ぶりくらいの鑑賞。大学の図書室で観た記憶がある。大学の図書室には映画のDVDがたくさん蔵書されていた。しかし貸出はできず、館内で鑑賞することが許されるのみだった。懐かしい。もっといっぱい映画を観ておくべきだった。なぜか未来少年コナンも全巻揃っていたので、金のない学生だった僕はそこで未来少年コナンを初めて観た。懐かしい。
去年、ヴィム・ヴェンダースのリバイバル上映を観て、彼が小津映画を愛しまくっているということがわかったので、また観なければいけないとは思っていたのだった。
身内が亡くなったので、この機会に観直そうと思った。
久しぶりに観てみると、この作品はだいぶハイテンポな作品だったんだなと思った。
台詞にも演技にも無駄がない、実にシステマティックに仕上げられていると感じた。
内容としても、この時期にすでに、いわるゆる家族というものの解体が急速に進んでいたことがわかる。
「昭和の時代には人情があった」って、多分、幻想だったんでしょうね。
まぁ、地方の人間が東京に出て行って地方が空洞化する流れと、東京は東京で昔からの住民と新住民との間で価値観が全然違ってくる軋轢なんかがあったのだと思うので、この映画では「地方に残った家族と東京に来た家族」しか描かれてないから、「日本の全体像」がここにあるのかと言ったら違うのだろうけど。
「戦争で亡くなった息子の嫁・現未亡人・子どもはいない」って状況なのに、原節子さんは、ずいぶんと家族からこき使われていたので驚いた。
原節子さんの「でも私、ずるいんです」って言葉、献身的な貞淑な嫁という理想像を押し付けられているなという印象だったんだけど、「もう思い出さないことのほうが多い」って話していたことを再見して気づく。
日本人っぽい「本音と建て前」がわかりやすく描かれてて面白いなと思った。
姉の役、いい人なのか自己中なのかわかんなくて面白い。けど僕は、ああいう人には近くにいてほしくないなと思った。
この映画が好きで、尾道に旅しに来る外国人もいるようなのだけど、どこがそこまで胸を打つんだろう。
海外の映画作家に熱心なファンがいるから、それを通して紹介されることで、目に触れる機会が多いってことなのだろうか。
小津映画って内容や登場人物が似ているものが多いようなので、東京物語以外観ていないのだけど、これを機にちょっとずつ観るようにしてみようかと思った。
映画を観る習慣が戻ってきていて、安心している。
承認欲求を満たすことを目的にして人と関わろうとしてはいけないなと思った。自戒。
その目的を先行させてはいけない。
優しい人間であると思われようとして行動してもいけないなと思う。そういう後悔は日々生まれるが、改善される見込みはない。難儀な生き物だ。
全然関係ないのだけど、大学の図書館のDVDが置かれている棚で、僕は気になる映画の本編が何分あるのかをチェックしていた。
裏面に、映画の本編と映像特典が何分収録されているのか書いてあるじゃないですか。
授業の合間とか、放課後に映画を観ることになるので、その時のその時に「ちょうど観終われる作品」が何になるのかわかっていたほうがよいじゃないですか。
なので映画のタイトルと、本編の時間をメモに書き留めていた。
1000本くらいのDVDがある棚の端から端まで、気になるDVDをチェックしていたので、多分一時間以上かかった。
今思えば、その時間を映画鑑賞に充てろよと思わなくもないが、僕は多分その時は真剣だった。
30分ほど経ったあたりで、司書さんから「何かお手伝いしましょうか?」と話しかけられた。
その司書さんは年の頃30前後、美しい黒髪をひっつめにしていて、肌がつややかで、おっとりとした話し方をしていて、肉感的な身体つきをしているのに胸元の緩いTシャツを着ていて、正直めっちゃエッチしたかったです…。
はっきり言うと大学生の頃の僕とか、視界に入る15歳~40歳ぐらいまでの女性、全部性の対象だったじゃないですか。
めっちゃエッチしたかったです…。
僕は確かありのまま、「映画の本編時間をメモしていたんです」とか答えた気がする。
その人は僕の性欲にも気づかず「映画がお好きなんですねぇ」とほほ笑んでいた。
クソーーーーッ!
エッチがしたかったっ!!!!
なんやねん、この、「思い出しエッチしたかった」は。
なんやねん。
・今日聴いた曲
高校生ぐらいの時に、なんとなくロッキングオンに広告が出ていたか何かの理由で購入したCD。
イギリスのバンドのデビュー盤。
とっくに売り払っていて、「カラー」「パール」といった単語がバンド名かCDに使われていたと思ったのだけど、それらで検索してもたどり着けなかった。
しまいには、リリースされた心当たりのある年に発売されたアルバムのリストをウィキペディアで閲覧したりしたが、見つからなかった。
ジャケットは鮮明に覚えているけれど、ジャケットを覚えていても検索の役には立たない。
こういう時にお店とかだったら、その特徴を伝えて探してもらうことなどもできただろうか。
しかしある時に「カラーオブファイアだ」と思い出すことができた、
SpotifyとYouTubeには楽曲があるものの、全然再生されていない。
この1stをリリースした後に解散したようである。
しかしこのように、あまり特徴のないバンドでも、日本盤がリリースされて雑誌に広告が出ていた時代もあったんですね。
「今聴いたらダサいだろうな」と思いながら再生したが、まぁ、ダサいかなぁ…。
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